規格/標準

エムエスツデー 2005年1月号

計装豆知識

WEEE指令とRoHS指令印刷用PDFはこちら

−  電気電子機器の廃棄処理規制(WEEE指令)と
    電気電子機器への有害物質の使用規制(RoHS指令)について −

私たちの周りには、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコンなど数多くの電気電子製品があります。これらの製品はやがて本来の役割を終えると廃棄処分されることになります。電気電子製品は、数多くの部品で構成されています。部品は、その生成過程の中で様々な化学物質が含まれます。化学物質の中でも、有害性が懸念される物質は、適切に廃棄処理されないと環境を汚染する可能性があります。

環境の汚染を未然に防ぐために、製品に含まれる化学物質の使用を制限したり、製品のリサイクルを義務付ける法制化が各国で進んでいます。

欧州では、電気電子製品に対するWEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令とRoHS(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)指令が2003年2月13日にEU官報に告示され、次々とその内容が実施に移されつつあります。

表1 WEEE指令とRoHS指令の主な日程

2004年 8 月   EU各加盟国の国内法整備
2005年 2 月 RoHS指令 医療用機器および監視・制御機器の適用時期見直し提案 注)
2005年 8 月 WEEE指令 廃電気・電子機器の回収
2006年 7 月 RoHS指令 特定物質の使用制限
2006年12月 WEEE指令 リサイクル目標値の達成期限(表2参照)

注)医療用機器と監視・制御機器は、現時点では対象外となっていますが、2005年2月13日以前に見直しされることになっています。

WEEE指令(廃電気電子機器規制)の発効は2005年8月13日

本指令の目的は、廃電気・電子機器の発生を予防することであり、予防するために部品・材料の解体および再利用が容易にできる電気電子機器の設計および生産が奨励されています。さらに廃電気・電子機器を分別収集し、回収量、リサイクル率の向上を促すことにより、電気電子機器の廃棄物の減量と、環境負荷低減に結びつけることを意図しています。

対象とする製品は、大型家電、小型家電、IT通信機器、民生用機器、照明装置、電動工具、玩具、監視および制御機器、自動販売機類など、ほとんどすべての電気製品です。

表2 カテゴリ別再生率とリサイクル率

カテゴリ
再 生 率
リサイクル率
大型家庭用電気製品/自動販売機 80% 75%
IT機器および電気通信機器/民生用機器 75% 65%
玩具、レジャーやスポーツ用品/監視および
制御機器/小型家庭用電気製品/照明装置/電動工具
70% 50%
ガスランプ 80% 80%

RoHS指令(特定有害物質の使用規制)の発効は2006年7月1日

本指令は、電気電子機器類に対して、特定有害化学物質が含まれた素材などの使用を制限することによって、環境破壊や健康に及ぼす危険を最小化することを意図しています。

特定の有害化学物質とは、4つの金属(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム)、2つの臭素系難燃剤(ポリ臭素化ビフェニール(PBB)類、ポリ臭素化ジフェニールエーテル(PBDE))です。これらの化学物質は原則として使用禁止になり、2006年7月1日以降、EU市場ではこれら6物質を含む電気電子機器類は実質的に販売できなくなります。

日本では、有害物質に指定されている鉛については、はんだに含まれる鉛の有害性の問題から、鉛を使用しないはんだ、「鉛フリーはんだ」が実用化され、家電メーカーを中心に採用が進んできています。

鉛フリーはんだの実用化にあたっては、現行の生産設備や部品・材料、設計要件などをできるだけ継続して使用することが望まれます。しかし、鉛フリーはんだ合金の融点や濡れ性をはじめとする特性は、従来の錫−鉛(Sn−Pb)はんだと違うため、これまでのはんだ付け工法がそのままでは使えないという問題が発生しています。ソルダペースト中のフラックス成分、自動はんだ付け装置(リフロー装置、フロー装置)、使用部品の耐熱性、プリント基板の設計仕様などを鉛フリーはんだ用に最適化するとともに、製造工程中での鉛含有量の測定方法、実装済み基板のはんだ接合部の鉛含有量の測定方法などを確立していく必要があります。

【(株)エム・システム技研 製造部】


ページトップへ戻る