変換器

エムエスツデー 1994年10月号

計装豆知識

PID調節計と調節弁の正/逆の組合せ印刷用PDFはこちら

PID調節計を使用するとき、制御出力の変化方向を示す「正動作」または「逆動作」を設定する必要があります。

一方、調節弁は、調節計からの制御出力信号が0%のとき全開になる「正作動」と全閉になる「逆作動」があります。

制御ループを構成するとき、調節計と調節弁の動作方向の組合せが適切でないと、ネガティブ フィードバックがかからずにポジティブ フィードバックになってしまいます。

単純な正/逆の組合せですから、何も考えずに決めても50%の確率で当たりますが、まじめに考えて決めた結果、間違えると腹が立つものです。

そこで、計装システムのエンジニアリング作業を行うとき、ループの正/逆の組合せをその都度原理から考えずに、下記の組合せ表(表1参照)を使用すると正確な作業が機械的に実行できます。

表1 調節弁の作動と調節計動作の組合せ表

制御ループの種類 調節弁の位置または操作媒体 PID調節計の動作
正作動弁と組合せ 逆作動弁と組合せ
温度制御 加熱 正動作 逆動作
冷却 逆動作 正動作
圧力制御 弁の上流側圧力を制御 逆動作 正動作
弁の下流側圧力を制御 正動作 逆動作
流量制御 検出部と直列の弁 正動作 逆動作
リターン弁(ポンプバイパス弁) 逆動作 正動作
レベル制御 タンクの流入側 正動作 逆動作
タンクの流出側 逆動作 正動作
pH制御 アルカリを添加 正動作 逆動作
酸を添加 逆動作 正動作

調節弁の作動と調節計動作の組合せを決めるときには、まず、フェールセーフの観点から調節弁の作動を決定し、次にPID調節計の動作を選択します。たとえば、蒸気により加熱する温度制御の場合、逆作動弁を使用する場合は、表1からPID調節計の動作は「逆動作」になります。

PIDの調節計の動作と調節弁の作動について簡単に紹介しましょう。

PID調節計の動作

●正動作=偏差(測定値−設定値)が増加すると制御出力が「増加」する。
●逆動作=偏差(測定値−設定値)が増加すると制御出力が「減少」する。

調節弁の作動

●正作動=空気圧がなくなると全開になる動作
Airless OpenまたはAir to Closeということもあります。調節計からの制御信号(4~20mA DCまたは0.2~1.0kgf/cm2)が増加すると、弁が閉じる特性です。

●逆作動=空気圧がなくなると全閉になる動作
Airless CloseまたはAir to Openということもあります。調節計からの制御信号が増加すると、弁が開く特性です。


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