エムエスツデー 2007年11月号

計装豆知識

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1.“タッチパネル”とは

“タッチパネル”とは、ディスプレイ(文字や図形を表示する装置)に表示されている文字や図形を見ながら、画面展開の操作やデータの入力を指やペンを用いて直接ワンタッチ操作で実行し、人間の感覚に適合した操作性を実現できる入力装置です。

2.タッチパネルの特長

タッチパネルは、機器制御用装置のパネル面に取り付けられる表示操作器、銀行のATM、スーパーのPOSレジスター、携帯ゲーム機、PDA、そして最近では携帯電話機にも利用されています。

タッチパネルの特長は、装置パネル面取付け表示操作器の場合、表示器の画面に表示されたアイコンにタッチすることによって、設備機器の運転や停止といった操作を直接実行できることです。これは、パソコンをマウスを使って操作するのによく似ています。

3.タッチパネルの種類

タッチパネルでは、ディスプレイに表示された文字や画像を見ながらタッチ操作を行うため、タッチする部分は透明であることが必要です。また、動作原理としては、タッチ部分(座標)を電気的に検出する方式と電気を使わない方式があります。

電気を使う代表的な方式としては、抵抗膜方式(アナログ抵抗膜方式)、静電容量方式などがあります。電気を使う抵抗膜方式や静電容量方式では、表示画面の全面に導電性のガラスやフィルムを貼るために光透過率が落ちます。

また、電気を使わない代表的な方式には、超音波表面弾性波方式、赤外遮光方式、画像認識方式などがあります。

電気を使わない方式は、画面の前面にフィルムやガラスを置かないため光透過率に優れています。ただし、電気式に比較して現状では高価です。

4.アナログ抵抗膜方式タッチパネル

各種のタッチパネルの中から、位置の検出が正確でかつ経済的にすぐれているため最も多用されている“アナログ抵抗膜方式”の原理について簡単に説明します。

図1をご参照ください。アナログ抵抗膜方式タッチパネルは透明導電膜(ITO:インジウム錫酸化物で作られた膜)をフィルムとガラスの間に向かい合う形で配置します。

タッチしていない状態では、微小なスペーサによって2枚の導電膜は接触していないために電流は流れません。フィルム面をタッチすると圧力によりタッチした部分のフィルムがたわみ、ガラス面の導電膜と接触し電気が流れます。ガラス面、フィルム面それぞれの透明導電膜の抵抗による分圧比を測定することによってタッチした位置(座標)を検出します。
 フィルムの厚さ:約0.2mm
 ガラスの厚さ:約1.1mm(強度が必要な場合は1.8mm)
 上下透明導電膜間のギャップ:約0.1mm~0.3mm

図1 アナログ抵抗膜方式タッチパネルの構造

以前、抵抗膜方式のタッチパネルには、導電膜の光透過率が十分でない、あるいは寿命が短いなどの問題がありました。しかし、現在主流になっている方式では全面透明導電膜で構成されるために構造が単純であり、剥離、磨耗、断線などが起きにくく寿命も長くなり、光透過率も向上しています。

一般に、フィルムの光透過率(全光線での代表値)は80%以上、連続打鍵寿命(指での入力)は10,000,000回という優れた仕様の抵抗膜方式のタッチパネルが作られています。

その他、フィルム面の反射、映り込みを防止するために「ノングレア」(あるいは「アンチグレア」と呼ばれる)処理が施されています。

5.エム・システム技研の製品

エム・システム技研では、LCD画面に記録データを表示するチャートレス記録計 73VRシリーズのすべてについて抵抗膜方式のタッチパネルを採用しています。

73VRシリーズは、そのタッチパネルによる操作性の良さについてお客様からご評価いただいています。

図2 タッチパネル式 チャートレス記録計 73VRシリーズ

【(株)エム・システム技研 開発部】

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