通信/ネットワーク

エムエスツデー 1999年9月号

計装豆知識

RS-232/485規格印刷用PDFはこちら

RS-232/EIA-232

パソコンおよびインテリジェントな計測・制御機器の多くは、「(EIA-)RS-232(-C)注1)」あるいは「EIA(/TIA)-232(-E)注2)」と呼ばれるシリアルインタフェースを備えています。

「RS-232-C」は、データ端末・モデム間のインタフェース規格として、データ・制御信号の機能 ・回路特性、25ピンコネクタのピン割付・機構をEIAが規定したものであり、ケーブル長15m(EIA-232-D以降の規格改正により、今は長さではなく静電容量2,500pF)、伝送速度20kbps以内を条件とする規格です。

DOS/Vパソコン(IBM PC/AT互換機)は、この規格のサブセットである9ピンインタフェースを標準装備し、これもRS-232(-C)(9ピン)と呼ばれています。計測・制御機器の多くが備えているインタフェースはこの規格に準拠しています。

この規格は改正され、現在「ANSI/EIA/TIA-232-E-91」注3)になっていますが、サブセットには改正の影響はほとんどなく、冒頭に述べたとおり各種の呼び方が通用しています。

規格上の伝送速度は20kbps以下ですが、「RS-232、115.2kbps」というような製品も世の中には存在します。しかし、ケーブル仕様や伝送系各部分でのタイミング誤差累積などには注意する必要があります。

RS-232はデータ端末・モデム間接続用の規格ですが、パソコンとの直結のためにデータ端末側にRS-232のモデム側インタフェースを設ける場合もあります。また、データ端末のモデム接続用インタフェース同士をインターリンクケーブル・クロスケーブル・ヌルモデムといった特殊な接続のケーブルにより直結することも、よく行われています。この場合、ケーブルにより制御信号同士の接続関係が異なるため、伝送制御ソフトとの整合に注意が必要です。

各種高速シリアルインタフェースが出現している現状では、この規格は技術的に少々色あせています。しかし、その普及状況から見て、標準インタフェースとしての地位は当分不動でしょう

RS-485/EIA-485

リモートI/OやPLCなどの計測・制御機器のデージーチェーン(マルチドロップ)接続に、昔から「RS-485」あるいは「EIA-485」と呼ばれる規格が広く用いられています。また、各種フィールドネットワーク規格の物理層にも本規格が採用されています。

この規格は、EIAが規定した次のようなインタフェース信号送受信回路用の規格です。
 • 最大32台までのマルチポイント接続
 • 通信速度最高10Mbps(ケーブル長に依存)
 • より対線最長1.2km
 • 差動式送受信回路を1対または2対(1:N伝送時のみ)のより対線で接続し、両端をケーブル特性インピーダンスに近い抵抗で終端。

計測・制御機器では、接地電位差やノイズに対する対策として、RS-485送受信回路と機器メイン回路の間を絶縁することがしばしば行われています。

接続された送信回路がすべて非送信・ハイインピーダンス状態になるアイドル期間において、ライン電圧は終端抵抗により0Vになります。受信回路のしきい値が0Vであるため、RS-485受信ICのわずかなヒステリシスではノイズの影響を除去できず、受信回路出力データが不安定に変化する恐れがあります。

アイドル期間のこのような不安定動作を回避するため、終端抵抗部にバイアス印加回路を設けて、アイドル時のライン電圧を0Vでなくしたり、RS-485受信ICの直前にしきい値をシフトさせる回路を設けることが広く行われています。しかし、手法が一律でないため、複数のメーカーの機器が同一ラインに接続される場合には、組合せ機器の送受信特性・ライン抵抗・終端抵抗・バイアス印加回路などの整合がとれ、安定した動作が保証されることを確認する必要があります。

注1) EIA(Electronic Industries Association):米国電子機械工業会
    RS(Recommended Standards):推奨規格
注2) TIA(Telecommunications Industry Association):米国電気通信工業会
注3) ANSI(American National Standards Institute):米国規格協会


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