通信/ネットワーク

エムエスツデー 1999年8月号

計装豆知識

画像データの圧縮技術印刷用PDFはこちら

画像データ圧縮の背景

パソコンをインターネットに接続して興味あるホームページにアクセスすると、画像表示の遅さが気になることがあります。これは、画像データの情報量が文字データに比べて多いため、受信に時間がかかるのが大きな原因です。この場合、電話回線経由でインターネットに接続していると、通常の場合通信コストがかさみます。コストを下げるには、画像データの圧縮伝送が有効です。また画像データを圧縮すると、その保存に必要な記憶装置の容量が小さくできる利点もあります。

画像データ圧縮技術の概要

画像データ圧縮技術は、その対象を静止画、動画として様々な方式が研究開発され、標準化も進んでいます。ここではカラー静止画像のデータ圧縮方式であるJPEG(ジェイペグ)の概要を紹介します。JPEG (Joint Photographic Experts Group)とは、ISO(国際標準化機構)とITU(国際電気通信連合)の合同専門家委員会の略称です。この委員会がカラー静止画像のデータ圧縮方式に関する国際規格を制定しました。この方式では画像の概略がわかる程度の画質から原画像に近い画質まで圧縮率を可変設定できるのが特徴です。この方式では、インターネットのホームページだけでなくデジタルカメラの画像形式でも使われています。

パソコン・ソフトなどで実現しているJPEG方式のアイデアは以下に説明するとおりです。かなり高度な応用数学(フーリエ変換)を活用しています。

より詳細な説明はJPEGのホームページ http://www.jpeg.org をご参照ください。

今から約200年前、ナポレオン時代のフランスの数学者フーリエは、熱伝導の研究から、広い範囲の関数が基本周期とその整数倍の周期を持った三角関数を重み付けして無限に加えたものとして表現できることを発見しました。重みの係数列は、対象とする関数にフーリエ変換と呼ばれる計算を施すことで求まります。実際の画像データ圧縮には、離散関数に対するフーリエ変換の拡張である離散コサイン変換 DCT(Discrete Cosine Transform)を使用します。以下の説明では、離散コサイン変換を単にフーリエ変換と記します。

画像データ圧縮で対象とするカラー画像は、画像平面上の任意位置で色の3成分(赤、緑、青)の濃淡が数値で表現されている場合を考えます。画像データの圧縮はこの3成分の平面上の濃淡分布情報をより少ないデータで表現し直すことに相当します。ここでは赤色成分の圧縮方法について考えてみます。ほかの成分の扱いも同様です。

赤色成分の平面上の濃淡分布は位置の関数です。これをフーリエ変換し、フーリエ変換の係数列を求めます。得られた係数列をハフマン方式と呼ばれる可変長符号化方式を使ってより短い係数列に圧縮します。こうして得られた係数列が圧縮された赤色成分の濃淡分布情報を示します。

元の赤色成分の濃淡分布情報を復元するには、圧縮された係数列を基に、フーリエ変換の理論により圧縮される前の関数を求めることなります。

テレカプラ・アイ

遠隔地の画像を電話回線で呼び出すことができるエム・システム技研の画像伝送端末“テレカプラ・アイ”においても、画像圧縮技術にJPEG方式を採用しています。

テレカプラ・アイ(形式:TLKS)

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