通信/ネットワーク

エムエスツデー 1993年11月号

計装豆知識

データ伝送速度の単位“bps”と“ボー”印刷用PDFはこちら

“bps”の意味で“ボー”を使う人がいますが、これは間違いです。

“bps”はデータ信号速度

1秒間に伝送できるビット数で、単位はビット/秒(bits per second)で表します。

伝送の速さを表すものとしては、最も一般的な単位です。最近は、パソコンとモデム間を接続するRS-232-Cで、9,600bpsなどと表現していますから、極めてポピュラーなものになっています。

“ボー”は変調速度

伝送路上で、ある変調状態が持続する時間間隔(単位:秒)の逆数を“ボー(Baud)”と呼びます。この単位は、電信コードの発明者であるフランス人のボドー(Baudot)の名にちなんで付けられました。

コンピュータ システムに使われ始めた当時の300bps用モデムは、モデム間相互を接続する交流信号の変調速度も同じく300ボーでした。

このときは、モデムのコンピュータ接続用端子側のデータ信号速度を表現しても、また、モデムの通信回線側の変調速度を表現しても、たまたま同じ数値だったので問題になりませんでした。

1ボーが2bpsになる例

“ボー”と“bps”が異なる例を1つ示します。

図1に示すように、四相位相変調方式では90度ずつ位相をずらして、2ビットずつの組合せを割り付けています。

図1 四相位相変調方式の原理

図2では、この四相位相変調を使用して、元の信号で2ビット組合せが変化するごとに、位相を変える変調操作を1回ずつ行っています。すなわち1回の変調操作、1ボーによって2bpsの伝送が行われています。

図2 変調速度(四相位相変調の場合)と伝送速度

電話回線では、300~3,400Hzの範囲の交流信号で音声信号を伝送しています。この回線を使って4,800bpsのデータ伝送をするときは、この四相位相変調方式を利用しています。

基本波の周波数を2,400Hzにし、2,400ボーの四相位相変調操作を行うと、図2と同様に動作して4,800bpsの伝送速度が得られます。


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