通信/ネットワーク

エムエスツデー 2018年7月号

計装豆知識

BACnet MS/TP印刷用PDFはこちら

BAで使用される通信規格「BACnet MS/TP」についてご説明します。

BACnet(Building Automation and Control Network)(*1)は、BAと制御ネットワークのための通信プロトコル用標準化規格です。
BACnetプロトコルを使用することによって、従来使われていた設備・システムのメーカー独自の仕様に対応した個別インタフェースが不要になり、空調設備、照明システム、電気設備、防犯・防災設備やエレベータなど、様々な製品に関する各個別のメーカーであっても、共通インタフェースを介してすべてに接続・監視できるマルチベンダ対応システムの構築が可能になりました。
最近の状況については巻末記載の参考文献中に記載(英文)がありますので、それをご参照いただくことにして、今回はBACnet規格の技術的な内容についてご紹介します。

BACnet MS/TPの概要

今回ご紹介するBACnet MS/TPはフィールドデバイス向けのBACnet通信方式です。
「MS/TP」はMaster Slave Token Passingの略で、マスタスレーブ通信方式とトークンパッシング通信方式の2つを組合せて通信を行います。

BACnet MS/TPの特徴

(1)通信仕様

BACnet MS/TPは物理層にEIA-485(RS-485)を使用します。
主な仕様について表1に示します(*2)
またBACnet MS/TPの接続のイメージを図1に示します。

表1 BACnet MS/TPの通信仕様
項目 仕様
通信ボーレート[bps] 9600、(19200)、38400、(57600)、(76800)、(115200)
( )はオプション設定
データビット 8ビット
ストップビット 1ビット
パリティビット なし
フロー制御 なし
デバイス接続方法 デイジーチェーン接続
(両端に終端抵抗を接続)
1セグメント内の
接続台数
32台
(リピータを使用して32台以上接続することが可能)
1セグメント内の
最大通信距離[m]
ボーレートが76800以下の場合:1200
ボーレートが76800より大きい場合:1000
ノードアドレス 0~255
 0~127:マスタノード用
 128~254:スレーブノード用
 255:ブロードキャストアドレス
図1 BACnet MS/TP接続イメージ
(2)マスタスレーブ通信方式

マスタノードとスレーブノード間で使用される通信方式で、マスタノードがスレーブノードを制御する際に使用されます。
マスタからの要求メッセージとスレーブからの応答メッセージが1対1に対応しているため、制御の誤動作が発生しにくい特長があります。

図2 マスタスレーブ通信イメージ
(3)トークンパッシング通信方式

マスタノード間で使用される通信方式で、トークン(通信権)がネットワーク内を巡回し、トークンを獲得したノードが他のノードに対しメッセージを送信できます。そのためメッセージが混信しないといった特長があります。

図 3 トークン巡回イメージ

エム・システム技研のBACnet MS/TP対応製品

図4 BA8BM エム・システム技研では、BACnet MS/TP対応のBA・省エネ監視システム用コンポーネントとして、BAコントローラ(形式:BA3-CB10)や少点数入出力ユニット(形式:BA8BM)(図4)を開発中です。

<参考文献>
BACnetの最新情報 http://www.bacnet.org/

(*1)BACnetについては『エムエスツデー』誌
    2007年8月号「計装豆知識」2007年9月号「計装豆知識」参照。
(*2)仕様が追加/変更されている場合がありますので、最新のBACnet規格をご確認ください。

【(株)エム・システム技研 開発部】


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