通信/ネットワーク

エムエスツデー 2008年9月号

計装豆知識

専用電話回線と避雷器(1)印刷用PDFはこちら

今月から2回にわたり、テレメータの分野で使用するいくつかのアナログ専用回線とそれに対応する避雷器についてご説明します。今回は帯域品目とそれに対応する避雷器についての説明です。

近年の通信技術の発達はめざましく、それに伴い次々と新しい通信サービスが誕生しています。音や映像といった多量のデータをより速く送受信したいというニーズに対応し、高速な通信サービスが増えています。専用電話回線(以下、専用回線)についても同様で、アナログ専用回線から始まりデジタル専用回線、光ファイバ専用回線などが加わり、さらにインターネット技術を利用して仮想的な専用回線を構築するサービスもあります。このようなデータ通信の大容量高速化の流れがある一方で、小容量のデータを低速であっても確実に長時間送受信したい、しかも低料金で、というニーズも多数あります。したがってアナログ専用回線によるサービスが低価格の通信サービスとして現在でも提供されています。

専用回線といっても、用途や通信速度によってサービスは分かれます。とくにアナログ専用回線の場合には、サービスごとに通信線の電気的仕様が異なり、使用するテレメータ装置や避雷器の選定にも注意が必要です。

NTTグループでは、アナログ専用サービスとして表1に示すサービスを行っています(2008年7月現在)。そのサービスは帯域品目と符号品目とに大きく分かれます。

表1 アナログ専用サービス(NTT グループ)と対応モデムおよび避雷器




伝送速度 品 目 端末区間の
構成
通信
方式
モデム 
形式/通信速度
避雷器
~4800bps 3.4kHz 2線式 適宜 MOD2 300bps
(全二重)
形式:
MDP-FT
MOD3 1200bps
(全二重)
MOD4 300bps
(半二重)
MOD5 1200bps
(半二重)
MOD6 2400bps
(全二重)
MOD7 300bps
(半二重)
MOD8 1200bps
(半二重)
~4800bps 3.4kHz 4線式 適宜
~9600bps 3.4kHz(S) 4線式 適宜



伝送速度 品 目 端末区間の
構成
通信
方式
モデム 
形式/通信速度
避雷器
50bps 特殊な直流
方式以外
2

アース
リターン
全二重 MOD 50bps
(全二重)
形式:
MDP-MFA
特殊な直流
方式
2

アース
リターン
全二重 MOD1
2

メタリック
リターン
単方向
半二重
4

メタリック
リターン
全二重
2400bps デジタル伝送
(AMI符号)
4

全二重
4800bps
9600bps

帯域品目

帯域品目は、メタリック平衡対ケーブルを使用して、通常は0.3kHzから3.4kHzまでの周波数帯域で伝送することができる回線です。データ通信に使用できるのは、3.4kHzと伝送特性を改善した3.4kHz(S)です。3.4kHzには2線式と4線式の回線があり、最高4800bpsの伝送速度で通信できます。また3.4kHz(S)は4線式だけですが、最高9600bpsの伝送速度での通信が可能 注)です。 

避雷器の選定

図2 テレメータ用避雷器(形式:MDP-FT)帯域品目において2線式回線の場合には、テレメータ装置(モデムなど)との間の通信速度を一致させる必要はありますが、回線としての電気的仕様は共通であるため、モデムの種類にかかわらず帯域品目用の避雷器が使用できます。また4線式の回線については、送信側(2線)と受信側(2線)の間の絶縁が保証されていれば、それぞれの回線を2線式用の避雷器(テレメータ用避雷器(形式:MDP-FT)(図2))で保護することができます。

図1には、帯域品目3.4kHzの2線式回線にモデム(形式:MOD2MDP-FTを組み合わせた場合の結線図を示しています。

図1 結線例

次回は、符号品目についてご紹介します。

〈参考文献〉
NTT東日本技術参考資料「アナログ専用サービス」
http://www.ntt-east.co.jp/ether/refer/index.html

〈関連記事〉
『エムエスツデー』誌2002年3月号「計装豆知識」テレメータ装置と専用電話回線

注)標準的モデムでビット誤り率が概ね1×10−5です。

【(株)エム・システム技研 開発部】

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