通信/ネットワーク

エムエスツデー 2005年6月号

計装豆知識

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PROFIBUS-PAとは、プロセスオートメーション(Process Automation)用PROFIBUSのことです。

PROFIBUSは、PROFIBUS-FMS(Field Message Specification)、PROFIBUS-DP(Decentralized Periphery)、PROFIBUS-PAから構成されています。

FMSは、PLCのようなマスタ同士間通信用で、最近は重要性が低下し、消えていく傾向にあります。

DPは、すでに本誌2005年3月号の「計装豆知識」でご紹介した、世界一の累積出荷台数をもつといわれるFA市場を中心として普及しているフィールドバスです。

以下、ここではPROFIBUS-PAについてご紹介します。

PROFIBUS-PA

プロセスオートメーション用のフィールドバスには、次のような特徴が要求されます。
 • 本質安全防爆(本安)
 • バス給電
 • 確実伝送
 • 相互接続性(Interoperability)

したがって、PROFIBUS-PAも同様な特徴を備えています。

PROFIBUS-PAは、PROFIBUS-DPの通信プロトコルを使っています。ただし、設定、コンフィギュレーション、診断など非周期通信が必要であるため、PROFIBUS-DPの拡張版、すなわちDPV1が必須です。

最初のPAはRS485物理層を使い、通信速度は9.6~1200kbit/sであり、本安とバス給電は実現できませんでした。1994年、通信速度が31.25kbit/s固定のMBP(Manchester-coded Bus-Powered)伝送技術、IEC61158-2規格が発表されました。MBP伝送が本安とバス給電を実現し、PROFIBUS-PA用としての理想的伝送技術になり、1995年には、本安とバス給電にも対応できるPROFIBUS-PAの仕様が固まりました。

PAの相互接続性は、機器の特性(振舞い)を規定するプロファイル(Profile)で保証されます。PAプロファイルは、トランスデューサやポジショナなど代表的なフィールド・デバイスのデバイス・パラメータとデバイス動作について、メーカーとは独立して定義します。このため、メーカーに依存しないデバイスの互換性が容易に得られます。機能とデバイス動作についての記述は、国際的に認知された機能ブロック・モデルに基づいています。同じバージョンのプロファイルに準拠し、メーカーの違う同種機器が交換可能になっています。現在のPAプロファイルのバージョンは3.0です。

MBP技術を使うようになって以来、PROFIBUS-PAといえば、DPV1のプロトコルを使って、MBP伝送技術でPAプロファイルに準拠していることを意味してきました。

PA製品が爆発の危険性のある領域で使用される場合、FISCO(Fieldbus Intrinsically Safe Concept:フィールドバスの本質的安全の概念)モデルが適用されています。FISCOモデルは、ドイツのPhysikalisch-Technische Bundesanstalt(PTB:連邦物理技術協会)で開発されたもので、今日では危険領域で使用されるフィールドバスの基本モデルとして国際的に認められています。危険領域でPROFIBUS ネットワークを利用するには、その危険領域で使用されるすべてのコンポーネントが、FISCOモデルとIEC 61158-2に従って、PTB、BVS(ドイツ)、UL、FM(米国)など公認の認定機関によって承認および認定されていることが必要です。

PROFIBUS-PAとPROFIBUS-DPは違和感なく簡単につなげられます。RS485バスとMBPバスの間の変換は、DP/PAリンカまたはDP/PAカプラで行われます。

エム・システム技研の2線式ユニバーサル温度変換器(形式:B3PU)は、MBPを使用するとともにPAプロファイル3.0に準拠する温度変換器です。

図1 PROFIBUS-DP、PROFIBUS-PAを使ったフィールドネットワークシステム

〈参考文献〉日本プロフィバス協会ホームページ http://www.profibus.jp/

【(株)エム・システム技研 開発部】


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