通信/ネットワーク

エムエスツデー 2002年06月号

計装豆知識

Ethernetケーブルとハブ(HUB)印刷用PDFはこちら

Ethernetは、現在、最もポピュラーな情報通信用ネットワークとして、家庭の中から、オフィス、工場など、至る所で広く使用されています。私たちの身の回りにも、Ethernetのケーブルを容易に見つけることができるでしょう。

Ethernetのケーブル

Ethernetに使用されるケーブルには、10BASE5、10BASE2、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-Tなどの規格があります。先頭の頭文字は最大伝送速度を示し、たとえば10の場合は10Mbpsであることを意味します。BASEは、デジタル信号をそのまま伝送する通信方式であるベースバンドを意味しています。5や2は最大伝送距離を示し、5は500mを、2は200m(正確には185m)を意味しています。-T(または-TX)が付く場合は、伝送距離ではなく、ケーブル内で2線ずつ撚りあわせたツイストペア線が使われていることを意味します。

10BASE5と10BASE2には、同軸ケーブルが用いられます。以前は、10BASE5には直径10mmの太い同軸ケーブルが用いられ、それが黄色に着色されていたためイエローケーブルと呼ばれていました。また、10BASE2は直径が5mmと細いためシンケーブルと呼ばれていました。最近では、工事の容易性から、Ethernet上の端末機器への配線にはモジュラ端子(RJ-45) 注1)で簡単に接続できる、ツイストペア線方式が主流になっています。上記各ケーブルの規格を表1に示します。

表1

  10BASE5 10BASE2 10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-T
最大伝送距離 500m 185m 100m 100m 100m
最大伝送速度 10Mbps 10Mbps 10Mbps 100Mbps 1Gbps
ケーブル種 同軸 同軸 UTP、STP UTP、STP UTP、STP
コネクタ AUI BNC RJ-45 RJ-45 RJ-45

注)UTPはUnshielded Twisted Pair Cable、STPはShielded Twisted Pair Cableの略。

ハ ブ

図1

Ethernetで、-T(-TX)の形式が付くケーブル(ツイストペア線)を放射状に接続する集線装置をハブといいます(車輪の中心を意味する英語、hubを語源としています)。ケーブルを延長する場合には、中継機器としての役割も果たします。ハブにはリピータハブ、スイッチングハブなどの種類があります。リピータハブはリピータ機能を内蔵しただけのハブです。リピータとは、信号を増幅し、波形を整える機能であり、単にハブというとリピータハブを指します。スイッチングハブは、リピータハブの機能に加え、Ethernetのケーブルが接続される各ポート毎にMACアドレス 注2)を記憶していて、宛先のポートだけに情報を送る機能をもっています。そのため、通信回線の競合が起こりにくく、より高速なデータ伝送に適します。ハブとしては、4ポートしかもたない小規模なものから、数十ポートを有する大規模なものまで、多くの種類の製品が市販されています。

スイッチングハブの製品例を図1に示します。

<参考文献>
「コンピュータ&情報通信用語事典」 (オーム社)

注1) モジュラ端子(RJ-45):米国FCC(連邦通信委員会)規則で定められているコネクタの一つ。RJ-45は電話網(ISDN)に用いる2線データ用・終端抵抗付き・8極8芯コネクタとして定められたもの。
注2) MACアドレス(Media Access Control address):Ethernet上を流れるデータ(パケット)が、どの機器に届くべきかを識別するために使われるアドレスデータ。ハードウェアに固有なアドレスで、ハードウェアアドレスとも呼ばれる。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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