エムエスツデー 2018年10月号

計装豆知識

電力デマンドとは印刷用PDFはこちら

工場などの電気料金の計算のもとになる電力デマンドについてご説明します。

「デマンド」とは

一般的に「デマンド値」というと瞬時電力値(kW)のことをいいます。
しかし、電力会社との取引で使う「デマンド値」の意味は少し違います。電力会社との取引で使う「デマンド値」とは、デマンド時限(需要時限)、すなわち30分間という区切られた時間(時限)での平均電力を意味します。この「デマンド値」が基準となり、契約電力が決定されます。

契約電力は「最大デマンド値」で決まります

電気料金は図1に示すように、一般的に「基本料金」と「電力量料金」により計算されます。

図1  電気料金の計算式

高圧で受電される契約電力が500kW未満の需要家の場合には、契約電力が「最大デマンド値」によって上下し、過去1年間(その月と過去11か月)の最大需要電力(最大デマンド値)の中で最も大きな値が基本料金の計算に使用されます。つまり1回でも大きなデマンド値が出ると、その後の1年間はそのデマンド値が適用されます。
また高圧受電でも契約電力が500kW以上の需要家の場合には、協議により契約電力が決められています。このケースでは、最大需要電力が契約電力を超えると、通常より割増しの違約金を支払うことになります。そして最大需用電力(デマンド値)をもとに新たに契約電力の変更の協議が行われることになります。
すなわち、「最大デマンド値」が契約電力を左右します(デマンド値が大きくなれば契約電力も大きくなります)。
この「最大デマンド値」のことを知らないでいると、いたずらに高い電気料金を支払っている場合もあるため、まずは「最大デマンド値」について知ることが大切です。

(1)最大デマンド値とは

「デマンド値」とは30分間(毎時の0分~30分、30分~60分)の平均使用電力のことです。1日の「デマンド値」の中で最大の値(図2では14:00から30分間での値)がその日の「最大デマンド値」になります。

図2
(2)1年間の基本料金を決める最大デマンド値

日々の「最大デマンド値」を比べ、1か月間の中のピーク値がその月の「最大デマンド値」です。この「最大デマンド値」を1年間並べたとき、過去11か月の「最大デマンド値」より高い場合(図3では8月)は、契約電力が上がってしまい、以降1年間の基本料金が増えてしまうことになります。

図3
(3)1年間がんばれば料金が下がります

逆に以降1年間に8月の「最大デマンド値」を超えなければ、契約電力を下げることができます。ただし、どのくらい下がるかは「次のピーク値」で決まります。この「次のピーク」が低く抑えられていれば、一層効果的な省エネ、省コストが望めます(図4)。

図4

デマンド制御で省エネ(省コスト)を実現できます

同じ使用電力量でも、契約電力が大きくなれば電気料金が大きく上がってしまいます。このため、デマンドを上手く制御できれば省コストが実現できます。つまり、エネルギーコスト削減のためには、契約電力を低く抑えることが有効な手段になります。またデマンド監視によりデマンドを抑えることは使用電力量の削減にもなり、省エネを実現することにつながります。そこで、デマンドを継続して監視できるデマンド監視機能をもった電力監視システムが有効になります。

エム・システム技研の電力デマンド監視製品

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【(株)エム・システム技研 カスタマセンター】


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