エムエスツデー 2017年10月号

お客様訪問記

IoT化で太陽光発電設備と営農の遠隔監視が
便利に行えるようになりました

(株)ニノテック様の「ニノテックソーラーファーム」に採用された IoT時代のデータロガー「Webロガー2

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、福島県郡山市に本社を置く(株)ニノテックを訪問し、「ニノテックソーラーファーム」に採用された現場設置形データロガーWebロガー2(形式:DL30について、取締役 制御部 部長 加藤 雅博様、執行役員 総務部 部長 伊藤 善久様、システム技術部 課長 江連 典幸様にお話を伺いました。

 [エム・システム技研、以下エムと略称]「ニノテックソーラーファーム」とは、どのようなものかお教えください。

 [伊藤様](株)ニノテックは、2016年8月1日に創業70周年を迎えました。その大きな節目を迎えるにあたり、私たちを取巻くエネルギーや農業の問題解決に、ニノテックが扱う商品と技術で貢献したいとの思いから、営農型太陽光発電(農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置する方式)に取組むことにしました。営農型太陽光発電は、初期投資がかかるものの、同一の土地から営農と売電による収益が見込め、事業としての可能性が見込めます。本施設も、以前は水田であった場所を減反、転作しパネルと地面の空間に棚を設置してキウイフルーツを栽培し、さらに土地の有効活用を図り地面では野菜の栽培に取組んでいます。

 [エム]システムの概要についてお教えください。

 [江連様]システム構成については図1を参照ください。本システムは、営農部分と太陽光発電の遠隔監視を目的にしています。営農部分は気象観測・記録を行うことで適正な育成環境の維持と計画・報告に使用しています。農作物は気象によって育成が大きく変わります。とくに、この施設では太陽光を発電と生育でシェアしているため農作物の栽培環境としては未知数の部分もあり、経験とデータを活かしていく必要があると考えています。ニノテックファームは会社から離れていて農作業も毎日は行っていません。そのため、現場を巡回しなくても、ある程度現地の状況が把握できるようにWebロガー2とWebカメラを使い、インターネットを利用した遠隔監視を導入しました。

(株)ニノテック様の「ニノテックソーラーファーム」に採用された IoT時代のデータロガー「Webロガー2」システム構成図
(株)ニノテック様の「ニノテックソーラーファーム」に採用された
IoT時代のデータロガー「Webロガー2」システム構成図 [拡大図

 [エム]Webロガー2の導入経緯についてお教えください。

 [江連様]ニノテックソーラーファームの遠隔監視システムは、先にニノテック別館の屋上に設置した小規模の太陽光発電設備で運用を行った監視システムをベースに、改良を加えたものです(図2)。別館の監視システムには、Webロガー2が発売前であったため、同じくエム・システム技研製品データマル(形式:DL8-Cを使用し、パイロットプラントとして評価しました。しかし、データマルには標準的な監視画面は用意されていましたが、ユーザ定義画面(独自のグラフィック画面)を作成・表示する機能がありませんでした。ソーラーファームでは、グラフィックを使用して農業を営む方の目線で分かり易く、ひと目で異常などが発見できる情報の可視化が必要だと考えました。その折に、ユーザ定義画面や帳票機能などを搭載したデータマルの上位機種であるWebロガー2が発売されたので、ソーラーファームではWebロガー2を採用しました。

売電に関連する電圧や、発電量などの見える化

 [エム]システム構成についてお教えください。

 [江連様]気象の測定に使用するセンサとしては、高価な工業用ではなく農業向けの製品を使用し、コストの削減と耐久性・性能などの評価を図っています。センサからの出力は、信号変換器(形式:M2VSなど)でPLCに取込めるアナログ信号に変換しています。太陽光発電のデータは、9台のパワーコンディショナ(以下パワコン)からRS-485通信により、PLCにてデータを収集しています。パワコンから得た太陽光パネルの発電電圧・電流・電力量や電力会社との連系に関連する交流電圧・電流・電力などのデータは、Webロガー2がPLCとModbus/TCP通信を行い記録しています。記録したパワコン毎のデータを比較することで売電の機会損失をできる限り少なくなるように監視したり、今後の経年変化を捉えたりするためデータの見える化を行っています。

Webロガー2のユーザ定義画面や帳票作成機能などを活用

 [エム]Webロガー2のどのような機能を使用して監視されていますか?

 [江連様]なんといってもユーザ定義画面です。計装を知っている人なら違和感がない画面や記号でも、異なる専門分野の人は見ても分かりません。誰が見ても分かる画面を提供でき、目的に合わせた画面構築ができることが非常に良いと考えています。メール通報機能も重要です。発電施設では、日中に停止した時間や発電量が減少することは直接の損失となるため、他の仕事や離れた場所にいても、異常時などにメール通報を受信してすぐに状況の確認ができることが大切です。トレンドグラフも異常の発見に役立てています。複数データの比較を行うことで差異が分かり易くなり、過去データを確認できることは異常の判断をする上で大変役立っています。

 [エム]システムを構築、運用されてみていかがですか?

 [江連様]Webロガー2のユーザ定義画面と帳票機能のおかげで監視が容易になりました。帳票データは、FTP通信機能により必要なときに取得できます。トレンドグラフについても保存できるサンプル数がデータマルより増えたことにより、長期的に安定して見られるようになりました。エンジニアリング面においては、Webロガー2には専用のユーザ定義画面作成ツール(形式:DL30 Web Designer)がエム・システム技研のHPから無料ダウンロードで用意されていて、お絵かき感覚で作成できます。おかげで専門的な知識がなくてもグラフィック画面を容易に作成できました。
 ネットワークを使った監視を行うためには、様々な機材と知識が必要になるなど、昨今のセキュリティを考えて構築することは大変ハードルが高くなっています。Webロガー2を使用することで簡単にネットワークを活用した監視ができるようになりました。Webロガー2は現場設置形のロガー専用機器として設計され、必要な機能が搭載されているため、IoT時代に適した製品だと思います。

 [エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。

(株)ニノテックのご紹介

(株)ニノテックはFA・OAシステムを活用したあらゆる産業の生産現場、オフィス環境の最適化をご提案しています。企業経営に直結するシステムのオートメーション化は生産性・効率性を向上させる根幹的な施策となります。ニノテックは、現場で培った実績と地域に密着した営業活動でお客様と地域社会に貢献すべく事業を推進しています。ニノテックは、以下に挙げる4つの事業ドメインでFA・OAシステムをクリエイトします。

制御事業:制御機器販売・メンテナンス
各種コントロール機器、電子デバイス、空圧機器の販売を中心に、品質・安全・安心・省力・環境保全など生産現場におけるソリューションを提案し、お客様の生産性向上をサポートします。

計装事業:計装機器販売・メンテナンス、産業プラント計装
石油、化学、鉄鋼、紙パルプ、電気・計装設備の設計・施行からメンテナンスまで蓄積した技術とノウハウでトータルに取り組みます。

環境事業:上・下水道ソリューション、環境計装ソリューション
上・下水道プラントから水処理設備まで、環境にやさしい水環境システムを創造します。自然と人に幸福な環境づくりを目指し、幅広い環境業務活動に取り組みます。

情報・通信事業:防災ソリューション、ネットワーク・セキュリティ
デジタル交換機・IP電話・LANなどシステムの提案、防災・音響・映像などの設備の企画、設計・施行、メンテナンスを通して安全・安心・快適を提供します。

(株)ニノテック本社

本システムについての照会先:
(株)ニノテック
〒963-8577 福島県郡山市島2-44-2
TEL:024-935-1700
システム技術部 課長 江連 典幸 様


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