エムエスツデー 2015年1月号

お客様訪問記

「電力・蒸気使用量の見える化」により工場単位の監視を実現
福島県いわき市(株)ケミクレアの小名浜工場へ導入された
エネルギー監視システム

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、福島県いわき市にある(株)ケミクレアの小名浜工場を訪問し、エネルギー監視システムとして、蒸気流量監視と電力監視のために採用された電力マルチメータ電力マルチトランスデューサおよびリモートI/Oについて、(株)ケミクレア 小名浜工場 技術担当課長の星 浩太郎 様、設備メンテナンス課 電気・計装担当の大木 聡祥 様、また機器の納入とエンジニアリング設定を担当された轟産業(株)東京支社 営業部 野村 昌志 様およびシステム課 坂本 様にお話を伺いました。

使用量の見える化

 [エム・システム技研、以下エムと略称]エネルギー監視システムの導入経緯をお教えください。

 [星様]当初、蒸気流量は、敷地内にある5つの工場について工場単位での使用状況は把握できず、工場全体としての発生蒸気量の監視しか行っていませんでした。それをより正確に工場単位で監視できるように「使用量の見える化」を実現することと、そのデータからエネルギー量の削減を図り、製造原単位の改善を目的として導入することを決定しました。また、蒸気流量の他に使用電力量も同時に監視できることと、エンジニアリング設定も可能とのことで轟産業(株)へ依頼しました。

 [エム]システムの概要や構成についてお教えください。

 [野村様]各工場に供給している蒸気使用量と電力使用量の省エネを目的とした「使用量の見える化」についてご相談をいただき、流量計・リモートI/O監視操作ソフトによるシステム構成を提案しました。流量計としては、反応が早くかつ圧力補正が可能な流量計を選定しました。また、電力に関しては、既設の変流器があるものは、それを入力とした電力マルチトランスデューサを使用することにより、変換誤差を極力小さく抑えるようにしました。次に既設の変流器がないところには、クランプ式交流電流センサを用いて、リモートI/Oを経由して社内LANにてサーバPCに接続しました。
 高圧受電電力については電力マルチメータを使用し、既設の自家用発電設備との連携が必要なため、電力マルチトランスデューサを用いました。
 ご提案にあたって、クランプ式交流電流センサを使用するため、センサの内径とケーブルの外径の寸法確認、およびお客様の社内LANを使用させていただくため、通信渋滞状況の確認が必要でした。
 今回は蒸気量と電力量の監視ですが、その他の監視項目(工業用水の使用量・ブラインの使用量・ガスおよびエアーの使用量)についても追加増設して監視できるシステムにしています。

制御盤内
システム立ち上げ時の動作確認の際に、クライアントノートPC を現場へ持ち込み、エム・システム技研のコンフィギュレータソフト(形式:PMCFGを利用して、現場側計測値とPC 上の数値の一致を手間を掛けずに確認することができました。

SCADAソフトを使用したシステム

 [エム]システム構築で苦労された点はございますか?

 [坂本様]轟産業(株)には各社のSCADAソフトを使用したシステム開発の実績が多数あります。当初予定していた「PCレコーダソフトMSRpro®からHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro®」への仕様変更により、システムの再構築を行ったため予定工数をオーバーしてしまいました。しかしながら、SCADAソフトを入れることにより他の監視項目を容易に追加変更できるシステムになりました。また、お客様の既設社内ネットワークを利用する通信のため、立ち上げ時の現地試験では通信タイムアウトが発生し、リモートI/O〜サーバPC間の収集周期や各機器の設定見直しの微調整がありました。しかし、エム・システム技研 ホットライン システム技術担当の方と現地で連絡を取り合い、原因究明と対策が素早くできました。迅速な対応に感謝しています。

エネルギー監視システム構成図
エネルギー監視システム構成図 [拡大図

エネルギー監視システム 各画面

運用されてみていかがですか?

 [大木様]システム導入前は、工場内電気設備の管理のために現場担当員が巡回してデータを記録していました。現在は、PC上で蒸気使用量のほか、電力使用量も把握できるようになり、また、各工場の使用量や製品毎の使用量の見える化が実現できました。今後は、それらのデータを基に月次の製造原単位の推移を比較して、省エネにつなげていきたいと考えています。

 [エム]本日はお忙しい中をありがとうございました。今後ともエム・システム技研をよろしくお願いします。


採用された製品のご紹介

  • 電力マルチメータ

    電力マルチメータ 54U

    形式 54U

    各種電力要素を演算し、液晶で表示するマルチメータです。アナログ信号、警報接点とModbus通信で出力します。

  • 電力マルチ
    トランスデューサ

    電力マルチトランスデューサ L53U

    形式 L53U

    各種電力要素を演算し、アナログ信号、警報接点とModbus通信で出力するトランスデューサです。

  • 8回路入力
    電力マルチユニット

    8回路入力電力マルチユニット R9MWTU

    形式 R9MWTU

    各種電力要素を演算し、Modbus通信で出力するリモートI/Oです。最大で8回路を入力でき経済的です。

  • 2回路入力
    電力マルチユニット

    2回路入力電力マルチユニット R7MWTU

    形式 R7MWTU

    各種電力要素を演算し、Modbus通信で出力するリモートI/Oです。手のひらサイズでとてもコンパクトな設計です。1回路入力でパルスを入力できるタイプもあります。

  • 絶縁2出力
    アイソレータ

    絶縁2出力アイソレータ W2YV

    形式 W2YV

    1〜5V DCまたは 4〜20mA DCを入力し、絶縁・変換した信号を2点出力します。

  • 絶縁2出力
    パルスアイソレータ

    絶縁2出力パルスアイソレータ W2PP

    形式 W2PP

    パルスを入力し、絶縁・変換した信号を2点出力します。

(株)ケミクレアのご紹介

(株)ケミクレア 外観  (株)ケミクレアのビジョンでもあり社名の由来でもある「化学と創造の融和」を合言葉に、研究開発型メーカーとして事業展開を行います。事業の範囲をファインケミカルとバイオサイドとの2分野に集中し、販売地域を、日本のみならず欧米などグローバルに展開しています。
 ファインケミカル事業には、2つの分野があります。固有技術であるハロゲン化を中心とするケミカルの製造販売と、世界各地の顧客からの受託製造あるいは共同開発です。高品質を維持する要である技術、QC/QAは(株)ケミクレアの長年蓄積した経験と情報に基づいています。また「化学合成事業を通じて社会の革新的発展に貢献」するため、常に新しいアイデアと技術を開発・練磨します。さらに顧客への直販と自社研究開発体制に加え、製造分野の効率的な配置は研究レベルから営業・生産までのバリューチェーンを形成しています。それが迅速で高いレベルのニーズへの対応力と価格競争力を裏付けています。
 もう1つのバイオサイド(工業用殺菌剤など)については、先進的かつグローバルな製造・販売メーカーです。活動範囲は日本のみならず欧米など世界的に広がっています。大部分の製品は世界でも数少ない独自技術で開発・製造され基幹製品となっていて、顧客の皆様からも幅広い支持をいただいています。欧州の顧客サービスの一環としてストックポイントを欧州にも設け、迅速な顧客対応を行っています。

本システムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200
FAX:06-6659-8510

SCADALINXproは(株)エム・システム技研の登録商標です。


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