エムエスツデー 2010年7月号

お客様訪問記

簡易水道集中監視装置の更新を経済的に実現
長野県大町市八坂支所の簡易水道集中監視装置に採用された
テレメータD3シリーズ

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、長野県大町市建設水道部を訪問し、八坂支所の簡易水道集中監視装置の更新に際して採用されたエム・システム技研製の多目的テレメータD3シリーズについて、公営簡易水道課の古平 隆一 様、佐藤 博 様、八坂支所の宮下 享治 様、そして本監視装置のシステムを設計・構築された中信アスナ(株)の曽根原 毅 様にお話を伺いました(図1図2)。

図1 大町市役所  図2 八坂支所

ご採用いただいた経緯についてお教えください。

[古平様]2006年1月1日に、旧大町市・旧美麻村・旧八坂村が合併して、新大町市が誕生ました。

 しかし、美麻地区と八坂地区は山間地であり大町とは山で隔てられているため、水道の配水システムについては、現在もそれぞれ独立して稼働しています。

 監視システムについても、それぞれ独自に構築されていて、使用している設備のメーカーもさまざまです。

 既設テレメータは設置からかなりの年月が経ち、更新の時期が来ましたが、それまで稼働していた大手メーカーのものではコストが非常に高いため、信頼できるメーカーの製品で、できるだけコストを安くできるシステムを導入しなければならないと考えました。

 今回行った八坂支所のシステム更新に際しては、メンテナンスが容易で全体として経済的に構築できることを重視し、エム・システム技研製テレメータを採用しました。

 八坂地区では監視する配水池が多い割には人口が少なく、財政的に経費をあまり掛けられない状況でしたが、エム・システム技研のテレメータD3シリーズはこのようなニーズにも十分マッチしていました。

 また、エム・システム技研の製品を採用したもう一つの理由として、すでに美麻支所について庁舎移転の際にエム・システム技研のテレメータシステムを新規導入し、現在まで問題なく使用できていることも挙げられます。

八坂支所に導入いただいたシステムの、概要や構成についてお教えください。

 [曽根原様]子局は合計13箇所あります。配水池およびポンプ場における各種のデータ信号をテレメータD3シリーズを使い既設のNTT専用回線(50bps)を介して、親局である八坂支所に伝送させています。

 親局側では、それぞれの子局から送られてきたデータを上位通信カードによって、オープンネットワークDeviceNet用信号に変換し、PLCへ伝送します。

 そして、最終的にはPLCとPCをつなぎ、PC上で集中監視を行っています(図4図5参照)。

図4 監視用PC

図5 システム構成図
図5 システム構成図[拡大図

システムの構築にあたり、ご苦労された点やご感想がありましたらお聞かせください。

 [曽根原様]テレメータに関しては、とくに苦労した点はありませんでした。

 既設のテレメータや他社のテレメータではソフトウェア設定が必要なものが多いのですが、エム・システム技研のテレメータD3シリーズはソフトレスのテレメータであり、簡単なディップスイッチの設定だけで構築できるため、簡単に設置できました。

 また、テレメータとPLCの間の接続は、一般にはワイヤリングで入出力信号を伝送しなければならないのですが、今回使用したPLCにはオープンネットワークであるDeviceNet用のカードが用意されています。

 したがって、テレメータD3シリーズの上位通信カードとしてDeviceNet対応の通信カード(形式:D3-ND1)を取り付けることによって、PLCと各子局用テレメータの間をマルチドロップ方式で接続することが可能でした。

 つまり、テレメータD3シリーズ側の出力カードおよびPLC側の入力カードを省くことができ、子局が13局もありながら、親局の盤は一つに収めることができました。

 結果として、コストダウンおよび省スペース化を実現しました(図3)。

図3 盤内部(テレメータD3シリーズ)

 テレメータD3シリーズは、入出力用I/Oカードの種類が豊富であり、上位通信カードについてもさまざまなオープンネットワーク仕様が用意されている点に好感がもてます。

 [佐藤様]ソフトウェア設定が不要であるため、機器故障があった場合などにも容易に交換ができることから、現場復旧が短時間で行えることを期待できます。

今後のご予定はいかがですか。

 [古平様]美麻支所と八坂支所の設備更新が完了したため、次は大町の監視システムの更新になり、それに向けての計画を進めて行きます。

 大町市在住の住民の皆様の利益につながるようなシステム構成を考えたいと思います。

 さらに現在は、大町、美麻、八坂の各庁舎にて個別にデータ監視を行っていますが、将来は大町にて美麻および八坂の状態も全体的に集中監視できるような検討も必要かと思います。

本日はお忙しい中をありがとうございました。今後ともエム・システム技研をよろしくお願いします。

【長野県大町市のご紹介】
長野県の北西部、松本平の北に位置する大町市は、「北アルプス一番街」といわれるように、その西部一帯にしゅん険な北アルプス山岳を連ねています。北の五竜岳から南の槍ヶ岳頂上までを収める大町市は全国屈指の広さです。市中心部の標高は700メートル余り(市役所は726メートル)です。典型的な内陸性の気候で、北アルプスの山々を映す仁科三湖やダム湖があり、豊富な温泉にも恵まれて、四季を通じて山岳観光都市としての地勢を備えています。また、日本最大のダムである黒部ダムへのアルペンルートの長野県側の玄関口で、映画『黒部の太陽』にも出てくる難工事であった大町トンネル(現・関電トンネル)を電気で走るトロリーバスが有名です。

長野県大町市

本システムについての照会先:
中信アスナ(株)
曽根原 毅 様
〒390-0863 長野県松本市白板1-1-36
TEL:0263-33-4694
FAX:0263-33-4681


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