エムエスツデー 2006年7月号

お客様訪問記

北海道空知郡上富良野町に採用された、
エム・システム技研のテレメータD3シリーズ

(株)エム・システム技研 システム技術部

 北海道上富良野町は、北海道のほぼ中心富良野盆地の北部、秀峰十勝岳のふもとにある人口12400余の町です。産業は農業を基幹とし、ラベンダーと温泉がある観光の町という特徴ももっています。上富良野町はラベンダー発祥の地で、毎年、日の出公園では「花と炎の四季彩まつり」が開催され、紫のじゅうたんの上で1組限定の「ラベンダーウエディング」が行われ、1日限りの世界一美しい結婚式として、ラベンダー畑は一層格別な雰囲気に包まれます(図1)。

図1 ラベンダー畑(ベルモニュメント)

 今回は、この上富良野町役場 建設水道課を訪問し、上下水道班主査 佐藤 清 様、主任 中島 聡哉 様、また、システムを納入された札幌テーケーシー(株)係長 松原 弘昌 様から、過日ご採用いただいた、エム・システム技研のテレメータ D3シリーズ を使った遠隔監視システム(図2)についてお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]本システムご導入の経緯についてお教えください。

[佐藤]今回本システムを導入した飲料水供給施設は、十勝岳中腹の翁地区温泉(白銀荘、バーデンかみふらの)へ飲料水を供給している施設で、役場から離れた場所にあるため従来はメンテナンスに大変苦労をしてきました。とくに冬になると、周囲一体にパウダースノーが3メートルも降り積もり、車道から施設までわずか300メートルの距離ですが、腰まで埋まり雪をかき分けながら進まなければならなかったため、2時間もかかってしまうような難所でした。

 また、観光シーズンが到来すると、通常期の何倍もの水道水が使用され、そのようなときには断水になるのを防ぐため、宿泊施設の従業員と建設水道課の職員が連携を取って貯水量を確認しながら水を使用し、足りない場合は町から飲料水を運んだこともありました。

 このような状況であったため、以前から遠隔監視システムを導入したいと考えていました。しかし、高額な費用がかかるため財政状況の厳しいなか導入することができず、悩んでいました。そのようなとき、札幌で開催された水道機器の展示会を見学し、エム・システム技研の製品に低価格でも高機能な遠隔監視ができるシステムがあることを知り、札幌テーケーシーさんのご提案でこのシステムを採用することにしました。

[エム]導入されたシステムの構成についてお教えください。

[松原]役場を中心として、清富地区飲料水供給施設にはリモートI/O R5シリーズを、翁地区飲料水供給施設にはテレメータ D3シリーズを採用し、それぞれ遠隔監視を行っています。清富地区では、NTT東日本のフレッツ・グループアクセス(ISDN回線)を使用し、常時監視を実現しています。翁地区については、3.4kHzアナログ専用回線を使用しているため、新製品であるテレメータ D3シリーズを採用しました。D3シリーズは、入出力カード、モデムなど、使いたいカードを自由に組み合わせて使用することができるテレメータで、用途に合わせて低価格で高機能な遠隔監視を実現できます。

 役場に設置した監視用のパソコンには、Citect SCADAソフトウェア を導入しました。なお、各施設で異常が発生したときには、パソコン画面に異常を表示しますが、同時にWebロガーから携帯電話へEメールによって通報するとともに、異常通報装置 てれまる(形式:TLOから携帯電話へ音声によって自動的に通報されるようにしています。したがって、万一の異常発生時にもリアルタイムに状況が把握できます。

 とくに本システムでこだわった点は、翁地区飲料水供給施設の薬注制御用に設置したワンループコントローラ(形式:ABAです。ABAを採用し、役場に設置しているパソコンの遠隔監視画面内から、テレメータ経由でABAの設定値を変更できるようにしているため、水道使用量の変化が激しい観光シーズンや現場に行くことが困難な冬期にも、役場に居ながら操作することができます。

 私ども札幌テーケーシーでは、すでにエム・システム技研のワンループコントローラを使用した薬注制御システムを多くのお客様に納入しており、独自のノウハウも持っています。制御結果が単に許容範囲内の数値に収まってさえいればよいというような妥協は一切せず、限りなく理想どおりの制御結果が得られるまで調整を行った上で、お客様にお引き渡ししています。このため、今までにご採用いただいた多くのお客様に、私どもがセッティングした薬注制御システムの完成度については高い評価をいただいています。

図2 上富良野町の飲料水供給施設遠隔監視システムの構成
図2 上富良野町の飲料水供給施設遠隔監視システムの構成[拡大図

[エム]実際にご採用いただいて、いかがでしょうか。

[佐藤]それ以前における冬場の苦労を思い出すと、現場に行かずにリアルタイムで監視ができるということは、まるで夢のようです。そして、このシステムを採用して得られた最大の成果は、より自然に近い状態の水道水を供給できるようになったことです。このシステムの導入前にはリアルタイムの監視データがなかったため、予測で管理することしかできませんでした。しかし現在は、時季や天候の変化に合わせて塩素注入量について最良の設定値にしておくことができるようになりました。元々、そのまま飲んでも問題のないきれいな天然水を水道水にして供給していますから、できる限り薬注量は少なくしたいと考えていました。それは、大自然を観光資源にする町の使命として重要なことと認識しています。これからも、観光で来られたお客様に喜んでいただける「おいしい水」を提供できるよう努力を続けていきたいと考えています。

 最後に、これからの季節注)は上富良野では最高の季節で、花や絵を見ていただける施設がたくさんあります。焼肉(豚サガリ)を食べて十勝岳温泉につかり、リフレッシュしてみませんか。

[エム]お忙しいところ、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

本稿のシステムについての照会先:
札幌テーケーシー株式会社
係長 松原 弘昌 様
〒003-0012
北海道札幌市白石区中央2条1丁目 浅沼ビル4F
TEL. 011-813-3336
FAX. 011-813-3343

(株)エム・システム技研
システム技術部
TEL. 03-5783-0511
FAX. 03-5783-0757

上富良野町のご案内:
上富良野町役場 公式ホームページ
http://hp.town.kamifurano.hokkaido.jp/
上富良野町観光案内
http://www.town.kamifurano.hokkaido.jp/

注)本件の訪問は2006年4月中旬に実施したものです。

てれまるは、エム・システム技研の登録商標です。


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