エムエスツデー 2005年11月号

お客様訪問記

南西糖業(株)の自家発電監視システムに
採用されたMsysNetシステム

(株)エム・システム技研 システム技術部

 今回は、鹿児島から南南西約460km、東シナ海と太平洋の間に位置する徳之島にある製糖会社、南西糖業(株)を訪問しました。徳之島は長寿の島で、泉 重千代さんで有名でしたが、最近ではマラソンのQちゃんこと高橋 尚子さんが合宿する島としても有名になりました。

 南西糖業は徳之島唯一の製糖会社です。貿易自由化に対処するため政府(農林水産省)がとっていた1島1製糖会社という方針に従って、昭和41年大島製糖(株)(三井製糖系列)と大洋殖産(株)(マルハ系列)の対等合併で誕生しました。島内にある徳和瀬工場、伊仙工場の2工場で操業しています。原料処理量換算で、徳和瀬工場は1000t/日、伊仙工場は1200t/日の能力を有しています。  

 原料としては南国特産のさとうきびを使用しています。さとうきびは冬から収穫します。年末頃から製糖作業が始まり、春頃に終ります。したがって、工場の稼働期間は12月から4月までのおおよそ4か月ほどです。製糖作業休止期の消費電力は約150kWですが、工場稼働期にはその約10倍の電力を必要とします。

 ところで、電力会社からの電力供給を受ける場合の基本料は「最大契約電力」の値で決まるため、その削減を図って電力会社とは最大電力を180kWとして契約・受電し、工場稼働期の不足電力は1500kWのボイラによる自家発電装置で賄うようにしています。したがってこの自家発電装置の運転監視は非常に重要な作業です。ちなみに、自家発電用ボイラの燃料は石油ではなく、主にさとうきびの絞りかす(バガス)なので、さとうきびの全体を余すところなく利用する、環境に優しい発電システムで、一石二鳥の効果を上げています。

図1 MsysNetを使用した南西糖業の自家発電監視システム

 MsysNetを使用した自家発電監視システムは最初2000年暮れに徳和瀬工場に採用され、翌年には、伊仙工場にも導入されました。さらに、2004年に圧搾工程の監視システムにも採用され、現在MsysNetを使用する3つのシステムが稼働しています。

 今回は、この南西糖業を訪ね、徳和瀬工場 課長 池崎 左地夫 様、係長 直 俊字様、主任 新田 和伸 様および伊仙工場 主任 作田 浩一 様にお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]今回初めて御社を訪問させていただきました。MsysNetは問題なく稼働していますか。  

[直]はい。安心して使わせていただています。

[エム]使い勝手はいかがですか。

[直]システム導入時には、毎回大阪でエム・システム技研のセミナーを受講し、現在では計4名(各工場2名ずつ)が機器の設定変更作業を行えます。大手メーカーの機器は複雑であるため、自分で触ることができません。システム変更が必要になったりトラブルが生じた場合に、地理的に不便なため、メーカーのサービスマンに来ていただくまでに時間がかかりますし、費用もかかってしまいます。その点、MsysNetはユーザーが自分で構築することを前提に設計されていますから、メーカーに依頼せずに構築できる点が優れています。また、設定作業、配線工事などもユーザーが行っているため、経済的な監視システム構築が可能であり、現場担当者としては皆気に入っています。

[エム]伊仙工場は徳和瀬工場とまったく同じシステムですね。

制御盤内

図3 監視 操作ソフト(形式:SFDN)を搭載したPC

[作田]伊仙工場のシステムは生産規模が少し大きいだけです。ほとんど同じシステムですが、一部改造した部分があります。徳和瀬工場のパソコンのグラフィック画面は2種類(図4図5)しかありませんが、伊仙工場のシステムでは事務所のパソコンからのビデオ信号を分岐し、現場2箇所でも見られるよう改造しました。数値表示が小さくなる点は、拡大画面を何種類か作って対応しました。

図4 グラフィック画面(タービングラフィック)

図5 グラフィック画面(ボイラグラフィック)

[エム]いろいろ考えておられますね。

[直]今後は、監視 操作ソフト(形式:SFDN)の後継としてHMIソフトウェア(SCADALINX)の導入を検討しています。また、現在稼働しているシステムは、NestBusだけで構築することもできたのですが、将来に予想されるパソコンの更新を考慮し、L-Busでパソコンと接続しています。通信カード(形式:18LB)を使用しているため、前述のSCADALINXの購入、設定変更だけで対応できる状態になっています。近いうちに、実施する予定です。

 なお、ワンループコントローラ(形式:ABH)も使っていますが、NestBusには接続せず、単体で使っています。最近発売されたエンベデッドコントローラ(形式:R3RTU-EM)についても低価格で興味があります。すべての機器が上位パソコンに接続できるため、システムを徐々に改造、追加していきたいと思います。

[エム]今回はお忙しいところ、お話をお聞かせいただき、どうもありがとうございました。

本稿についての照会先:  
(株)エム・システム技研  システム技術部

MsysNetSCADALINXは、エム・システム技研の登録商標です。


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