エムエスツデー 2005年8月号

お客様訪問記

西宮市水道局、配水管末水質監視装置の
集中監視システムに採用されたWebロガー

(株)エム・システム技研 システム技術部

 阪神都市圏の中でも豊かな自然と恵まれた地理的条件にある西宮市は、兵庫県の東南部に位置し、大阪・神戸のほぼ中間に位置します。古くは西宮神社の門前町として、さらには西国街道と中国街道の交叉地であるところから宿場町としても栄え、明治以降は“風光明媚”と“交通至便”により住宅地として発展してきました。今月は西宮市水道局を訪ね、配水管末水質監視システムに採用されたWebロガーについて、施設部施設管理課 課長補佐 西原 誠助 様、施設部施設整備課 能登 祐一郎 様、そして今回システム構築を担当された富士電機システムズ(株)綱島 拓也 様にお話を伺いました。

[エム・システム技研、以下エムと略称]導入の経緯をお教えください。

[西原]水道局では浄水場で作った飲料水用配水管の末端に設置した水質計の監視を行っています。今まで1日に1回担当者が現場盤を巡回し、濁度、色度、残留塩素濃度の測定およびデータ収集をしていました。法令が改正され、自動化によるデータ収集が容認されたため、今回のシステム導入となりました。

[能登]今回のシステム導入にあたり勉強だけはしておこうと以前から資料だけは集めていました。水質を測定しなければならないということは決まっていますので、どのようにして各地に分散した水質計のデータを中央に集めるかが今回のポイントでした。当然、テレメータ装置を使用することなども検討しました。テレメータ装置は信頼性は高いのですが、NTTの専用回線を使用するためランニングコストがかかってしまいます。また、中央側にテレメータ盤を設置する必要がありますが、現在の事務所にはそのようなスペースはありませんでした。

 ランニングコスト、事務所スペースなどを考えると、通信媒体は一般家庭でも使用しているインターネット回線を使用してデータ伝送を行い、中央側はパソコンを設置するだけで済むようなシステム構成が理想ではないかと考えました。そこでインターネット回線が通信媒体として使用できる機器を前提に、機器選定を行いました。そんな中、エム・システム技研のWebロガー(形式:TL2W)が目にとまりました。イーサネット用Webロガーを使用することによりインターネット回線に接続でき、回線については、NTT西日本が提供する「フレッツ・グループ」注)に光ファイバ経由で接続できることから、すべてが解決しました。すなわち、ランニングコストを下げることができ、地域IP網で普通のインターネット回線より安全性の高いネットワークを作ることができました。

図1 配水管末水質監視装置の集中監視システム

 西宮市の場合、南北に広いため、北部まで一元管理するにあたり今までのような専用回線を使用するテレメータの場合は、何箇所かの中継局を挟むためにランニングコストがかさみます。しかし今回のシステムでは、専用回線に比べランニングコストの大幅な低減ができました。また、Webロガーの場合は回線のトラブルが発生しても本体の内蔵メモリに制限があるもののデータが保存されているため、回線復旧後、中央側からデータ収集要求をかけることによりデータの復旧も可能になります。また何よりWebロガー本体が大変コンパクトである点が採用の決め手になりました。形あるものですからいつかは壊れてしまいますが、このWebロガーの形状ですと、すぐに交換が可能です。

[エム]監視システムの概要をお教えください。

[能登]配水管末に設置している水質計からの濁度、色度、残留塩素濃度の3点と、それに関する異常発生を事務所に設置するパソコンで監視するシステムです。今回の主たる目的は自動での水質データの収集でした。インターネット回線を経由して収集した各データから、日報、月報、年報を作成しています。また、水質のトレンドデータがいつでも監視できる状態を作り出しています。
 事務所に設置するパソコンの監視ソフトについては、富士電機システムズで作成していただきました。

図2 配水管末水質監視装置図3 トレンド画面

[綱島]事務所には用途別に2台のパソコンを設置しました。監視用パソコンは、サーバ用としてLinuxマシンを設置し、運転支援パソコンとしてWindowsマシンを用意しました。サーバからは5分毎にWebロガーに対してFTPファイル転送要求をかけ、トレンド、異常/運転ログデータファイル、1時間毎に日報データファイルの収集を行っています。サーバでは収集したCSVファイルからデータベースを作成しています。このデータベースからトレンド画面、異常/運転ログ画面、帳票として画面表示することができます。運転支援パソコンでは、インターネットエクスプローラを使用して、現場のWebロガーが標準装備しているWeb画面にアクセスし、監視することができるようにもなっています。また、Webロガーにユーザー固有画面のグラフィック画面も作成し、その画面から各現場の水質データの警報点変更も行うこともできます。

[エム]システムを導入されていかがでしたか。

[能登]このシステムの導入により、データ収集のために現場を巡回する必要がなくなりました。何より水質の変化がリアルタイムでわかるようになり、市民に対してより安全、安心な飲料水を提供できるという裏付けを得ることができ、大変満足しています。

[エム]お忙しいところありがとうございました。

注)NTT西日本が提供するサービスです。利用者同士でグループを構成し、インターネットを介さない地域IP網の中に閉じた通信であるため、安全性の高いネットワークが組めます。Bフレッツなどのインターネット回線を使用できます。詳細については、NTT西日本にご確認ください。

本稿についての照会先:  
(株)エム・システム技研  システム技術部
 TEL. 06-6659-8200  FAX. 06-6659-8510
 E-mail:yamada@m-system.co.jp


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