エムエスツデー 2009年7月号

Interface & Network News 2
No.34

SCADALINXproの仮想通信機能

 エム・システム技研のHMI統合パッケージソフトウェアSCADALINXpro(形式:SSPRO4は、パソコン上でSCADA/HMIシステムを構築するための高機能なソフトウェアです。SCADALINXproで構築したSCADAシステムは、パソコン上のSCADALINXproがリモートI/OやPLCと通信して、リモートI/O やPLCのデータを収集/監視します。

 ところが実際にシステムを構築するときは、開発を担当する人の手元にあるのがパソコンだけで、リモートI/OやPLCがないことがあります。たとえば現場の工事とシステム開発を並行して進める場合に、工事が始まるまではリモートI/OやPLCが開発者の手元にあっても、工事が始まるとリモートI/OやPLCは工事に使用するため、システム開発者の手元にあるのがパソコンだけになることが珍しくありません。

 このような場合でも、SCADALINXproの仮想通信機能を使えば、SCADALINXproを動かしながら、開発を進めることができます。

 今回はSCADALINXproの仮想通信機能についてご紹介します。

SCADALINXpro ServerとリモートI/Oの通信設定

 通常はSCADALINXpro ServerとリモートI/Oの間で通信します。SCADALINXpro Serverに、リモートI/Oと通信するためのユニットを登録します。登録したユニットを使って、SCADALINXpro ServerとリモートI/Oの間で通信します。通信した値は、ユニット内に登録したタグに入ります。ユニット内に登録したタグの値を、SCADALINXpro Serverで収集したり、SCADALINXpro Browserの画面に表示します(図1参照)。

図1 リモートI/Oと通信する場合

仮想通信機能を使用する

 仮想通信機能を使用するには、SCADALINXpro Serverをオンラインデバッグモードで起動します。仮想通信の場合は、リモートI/Oと通信した値がタグに入るのではなく、デバッグ機能で設定した値がタグの値になります(図2参照)。

図2 仮想通信の場合

 なおユニットやタグなどの設定はサーバ設定ファイルに保存しますが、オンラインデバッグモードで起動するために、サーバ設定ファイルを修正する必要はありません。

 仮想通信機能を利用すると、タグの値がデバッグ機能で設定した値になりますが、タグの値以外はリモートI/Oと通信している場合と同じです。リモートI/Oがない場合でも、タグの値が画面に反映されることを確認しながら、ブラウザ画面を作成することができます。またアラーム機能をデバッグする場合に、タグの値をデバッグ機能で設定しながら、アラームを発生させることもできます。

 なお複数のリモートI/OやPLCと通信する場合は、ユニットを複数登録します。その場合は、一部のユニットだけを仮想通信にすることができます。さらにタグ単位で仮想通信にするタグを指定することもできます。この場合は、ごく簡単なサーバ設定ファイルの変更で、仮想通信にするタグと実際にリモートI/Oと通信するタグを混在させることができます。

 以上のように仮想通信機能を使えば、リモートI/OやPLCがなくても、タグの値を変更できます。すなわち、開発担当者の手元にパソコンしかない場合でも、SCADALINXproを動かしながら開発を進めることが可能です。

本稿についての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ TEL:06-6659-8200

SCADALINXproは(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研カスタマセンターシステム技術グループ】


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