エムエスツデー 2007年12月号

Interface & Network News 2
No.16

上下水道の遠隔監視システムに採用された
SCADALINXpro の納入事例

 今回は、サーバ・クライアント形のHMIソフトウェア「SCADALINXpro HMIパッケージ(形式:SSPRO4」のアプリケーション事例として、複数箇所の離れた浄水場のデータを役場で集中監視したケースについてご紹介します。

 従来の上下水道遠隔監視システムについては、アナログ専用線を各拠点毎に敷設し、テレメータ機器を設置してデータ通信を行い、遠隔地のデータ監視を行う方法が一般的でした。しかしADSL回線をはじめ、ケーブルテレビ網や光ファイバ回線の普及により、この安価なインターネット網を利用して遠隔監視ができないかというご要望が出てきています。

 今回ご説明する納入事例は、ADSL回線を使用してサーバ・リモートI/O間でデータ通信を行う遠隔監視システムです。

システム構成

 図1に今回導入された遠隔監視システムの構成を示します。複数箇所の浄水場と監視システムを設置する役場には、それぞれADSL回線を設置してあります。サーバパソコンとリモートI/O機器とは、そのADSL回線を使用して通信を行っていますが、この回線にはセキュリティの問題を考慮しNTT東日本が提供するプライベートグループ内でのIP通信サービスである「フレッツ・グループアクセス ライト」注1)を採用しました。浄水場に設置されているリモートI/O R3シリーズとはModbus/TCPというプロトコルで通信を行っていますが、ADSL回線を使用しているため、ほぼリアルタイムでデータ通信が行えます。

図1 遠隔監視システムの構成

SCADALINXproの主な機能

 上位の監視システムであるHMIソフトウェアSCADALINXpro HMIパッケージSSPRO4)では、グラフィック監視画面、アラーム監視画面、トレンド画面、バーグラフ画面、運転履歴画面などの画面を構築してパソコンで監視しています。グラフィック監視画面(図2)では、浄水場のポンプの発停操作も可能になっています。指令に対応して正常に動作しなかった場合のアンサーチェック、あるいは遠隔地/現場、手動/自動の切替えによるインターロックプログラムなどは、SCADALINXproにスクリプトを組むことによって実現しています。

図2 グラフィック監視画面

 また、帳票画面でレポートを管理していて、毎日の帳票自動出力などもSCADALINXproで行っています。

 SCADALINXproは、サーバ・クライアント形のソフトウェア構成になっています。サーバはフレッツ・グループとは別にISP(インターネットサービスプロバイダ)とも契約し、グローバルIPを取得してインターネット回線にも接続しています。クライアントは、どこからでもインターネット網に接続すれば、サーバと通信を行い中央の監視システムと同様の内容を監視することができます。

 また、異常発生時には、ISP経由でEメール通報を行い、各担当者の携帯電話へ異常内容を送信しています。

 以上のように、SCADALINXproを使用すれば、遠隔監視システム、帳票の作成および携帯電話への異常通報を極めて経済的に実現できます。

注)NTT西日本では、「フレッツ・グループベーシックタイプ」という名称で同様のサービスが提供されています。

SCADALINXは、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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