エムエスツデー 2007年5月号

Interface & Network News 2
No.12

リモートI/O の2重化システムについて

 今回は、リモートI/O の2重化システムについてご紹介します。オープンネットワークを利用したリモートI/O機器は、現在広く普及し、DCSやPLC計装のI/Oとして数多く採用されています。とくに高い信頼性が必要とされるシステムでリモートI/Oを利用する際には、冗長化構成(2重化構成)が要求されることもあります。

 エム・システム技研では、2重化構成に対応可能なリモートI/Oとして、R5シリーズR3シリーズを用意しています。これらのシリーズでは、電源2重化と通信2重化について対応していますから、システムの重要度に応じて種々の2重化構成をご選定いただけます。

電源2重化について

図1 電源の2重化

 R5シリーズR3シリーズはともにビルディングブロック方式注1)を採用しています。

 1つのベースに対して2つの電源カードを装着して給電することにより、2重化電源として機能します(R5シリーズでは、本体ベースにワンタッチで接続できる増設電源カード用ベースを設置して2重化電源を実現します)。

 電源カードの突然の故障や一方の電源系統の異常(停電)時にも給電は停止しません。また、ホットスワップ機能によって、システムが動作している状態のままで電源ユニットを交換できます。

通信2重化について 

 データ通信の信頼性を向上させるために、通信ラインを2重化することができます。R5シリーズR3シリーズには、ともにベースに2系統の通信ラインが独立して設けてあり、通信カードを2枚実装し、各入出力カードには2重化対応の“W”タイプをご指定いただくことによって通信の2重化を実現することができます。通信カードにはメイン/サブの切換えスイッチがあり、一方をメイン、一方をサブと設定して実装します。リモートI/Oから上位PLCへのデータ送信については、常にメイン/サブ側ともにまったく独立した通信ラインとして機能し、2重化通信を可能にします。

図2 通信の2重化

 他方、上位PLCからリモートI/Oへの出力指令については、優先順位が高いメイン側の通信カードからのデータを優先して採用します。出力カードはメイン/サブ両方の通信カードの状態をリアルタイムに監視していて、メイン系統の通信ラインの配線や通信カードの故障または内部通信バスの異常が発生した場合には、サブ側のデータを採用して出力します。メイン側が正常復帰すると自動的注2)に切換えを行い、メイン側ユニットの指令を採用する状態に戻ります。メイン/サブ系統が両方とも異常になった場合には、出力値を保持しどちらかの系統が正常になるまで待機します(出力を強制的にOFFすることも、設定によって可能です)。

 エム・システム技研のリモートI/Oでは、以上にご説明した通信の2重化システム以外にも、1つのベースに異種の通信カードを実装することによって、I/Oを有効活用することが可能です。たとえば、DeviceNetの通信カードとModbusの通信カードを実装することにより、入力信号のデータをDeviceNet経由でPLCへ送るとともに、現場ではチャートレス記録計システムで現場監視を行うなど、様々なアプリケーションに対応できます。

図3 通信カードの2系統化を応用して現場記録計システムを構築

注1)ベースのスロットに、必要なユニットを選択して実装する方式。
注2)三菱電機製PLCの2重化システム対応通信モジュールなどでは、上位PLCから系統の切換えを指示することが可能です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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