エムエスツデー 2007年12月号

PCレコーダの納入実例
No.27

食品メーカーの工場増設に伴って採用された
PCレコーダソフトウェアMSRpro

 今回は、ある食品メーカーで工場増設に伴って採用された、PCレコーダソフトウェアMSRpro(形式:MSR2K-V5を使用したシステムについてご紹介します。

 MSRproはサーバ/クライアント方式のソフトウェアであり、サーバPCがデータ収集やアラーム出力を行い、クライアントPCがサーバとデータ授受を行って表示・解析するシステムが構築できます。もちろん、1台のPCに両方の機能をもたせることも可能です。

 今回は、ボイラ監視室(既設工場)にサーバPCを設置し、新工場(中間製品加工棟)にクライアントPCを設置しました(図1参照)。リモートI/O機器としてはリモートI/O R3シリーズを用い、4箇所のステーションを2台のHUBによってつないでいます。サーバとクライアントの間は、HUB間の配線長にして約160mと長いため、光ケーブルで接続しているほか、井水処理室からは、既設の小形多重伝送ユニット(形式:22LA1を利用して、接点信号をボイラ監視室に取り入れています。また離れた場所にある排水処理施設と中間製品加工棟の間は、途中まで既設の構内電話回線を使い、新設した架空電線とLANエクステンダ注)によってLAN回線を延長し、接続しています。

図1 システム構成図

 サーバPCでは、排水処理施設にあるポンプの状態および各水槽の水位、温度、pH、流量の監視などを主に行っているほか、新工場電気室での電力監視、チルド設備の温度、給水量、蒸気使用量、コンプレッサの圧力などの監視および井水処理室でのポンプの状態監視を行っています。

 電力監視については、MSRpro付属の電力監視用クライアントソフトウェアMSRecoを使い、新工場の電力使用量をデマンド監視しています。

 クライアントPCでは、新工場(中間製品加工棟)の電力監視を主に行っています。

 監視用のグラフィック画面では、CADで作成した電力系統図やプラント図をビットマップ形式に変換しMSRproのグラフィックパネルの背景画として貼り付けた上に、アナログデータのバーグラフ表示や数値表示、運転中などの状態表示を行っているほか、故障などの異常信号については画面上でランプをブリンクさせています。このようにして、監視・操作用ソフトウェアに匹敵するグラフィック画面を構成しています。

 そのほか、既設工場(ボイラ監視室)から排水処理施設にある電動弁開閉指令と開閉状態の監視を行なっていますが、MSRproは監視・操作用ソフトウェアではないため、画面からの操作で出力はできません。そこで、画面からでなく外部のボイラ監視室に設置した開閉指令切替スイッチを操作し信号を出すようにしています。

 具体的には、開閉指令切替スイッチ信号をMSRproでアラーム信号として割付け、その信号のON時に排水処理施設の接点出力信号がONになるように設定しています。

 またMSRproでは、アラームポップアップ表示時にWAVファイル(音声ファイル)音を出すことができますから、その機能を使いオペレータにベル音によっても注意をうながしています。

 日・月報については、MSRproの帳票出力機能を使って、新工場の電力使用量とその他の積算データとをボイラ監視室のプリンタに出力し、日毎に把握しています。

 このように、MSRproは、PC画面から操作信号を出力できない点を除けば、監視・操作用ソフトウェアに匹敵する機能をもっており、設定作業が容易でコストパフォーマンスにも優れたソフトウェアであり、最適なシステム構築が可能です。

注) LANエクステンダ:10Mbpsまたは100MbpsのEthernetを、設置済み電話などのメタル線を利用して、最大1.9kmまで拡張するための機器。

MSRproは、(株)エム・システム技研の登録商標です。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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