エムエスツデー 2007年8月号

PCレコーダの納入実例
No.23

自動車部品メーカーに採用された
チャートレス記録計集中監視システム

 今回ご紹介するのは、自動車部品を製造している会社で、部品の温湿度特性試験に使用する恒温恒湿槽の集中監視に関するご要求にお応えしたシステムです。

 恒温恒湿槽のデータ採取には入出力一体形 チャートレス記録計(形式:73VR21□が、また、それらデータを集中監視する目的にはHMIソフトウェアSCADALINXpro(形式:SSPRO4が採用されました。

表1 73VR21□の形式、入力チャネル数、入力種別

形     式
入力チャネル数
2点
4点
6点
入 力 種 別
デジタル信号:トリガ入力(1点)
アナログ信号:直流電圧、熱電対、測温抵抗体


 恒温恒湿槽とは、一定のスペースの中に気象的環境(高温・低温、高湿・低湿、あるいはこれらの繰り返しなど)を精度高く実現する装置で、高度な加工技術による断熱性能および高精度温湿度制御技術が要求される装置です。主として、様々な電子部品や電子機器の開発段階から製品化までの各過程で実施される信頼性試験(環境試験や寿命試験)の現場において、なくてはならない試験装置になっています。

 この工場では、製品試験用の目的で数十台の恒温恒湿槽を使用し、それぞれにペン式の記録計を設置して試験データの収集を行っていました。その際、装置毎に個別にデータを収集していたため、記録データを解析する場合に、パソコンへの手入力操作と編集作業が必要であり、集計に時間がかかっていました。また、装置間でのデータの比較を行う場合にも、時間の同期がとれていないことが問題になっていました。さらに、記録紙の交換作業やペンのインク切れ時の処置などメンテナンスが必要な点も改善項目に挙がっていて、これに対応できるシステムが希望されていました。

 今回、各恒温恒湿槽にはチャートレス記録計73VR21□)が設置されました。この記録計は、ご指定によって1台で 2点、4点、あるいは 6点のアナログ信号入力を取り込むことができます。計測する入力信号としては、温度、湿度のほか、電力量を収集することになっていたため、電力量については前段に電力トランスデューサを入れて、直流電圧信号に変換した後、73VR21□へ入力しています。

 73VR21□には、上位通信機能として、オープンネットワークの Modbus/TCP の Ethernet ポートが用意されているため、これを利用して恒温恒湿槽との間および上位パソコンとの間を接続し、集中監視を実現しています。

 パソコン側の HMI ソフトウェアとしては、SCADALINXproSSPRO4)をご採用いただきましたが、トレンド、アラームサマリ、レポート機能はもちろんのこと、スクリプト言語にも対応しているため、画面のカスタマイズ要求に対応できる点をとくにご評価いただきました。

 現状では、上記の標準的な機能を使って監視されていますが、将来的には、同時に行っている電力監視を利用した省エネ対策の実施も目標とされています。

SCADALINX は、(株)エム・システム技研の登録商標です。

図1 システム構成例

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


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