エムエスツデー 2005年8月号

PCレコーダの納入実例
No.5

PCレコーダによる電力監視

 PCレコーダの納入実例として、今回はある工場の電力監視に採用されたPCレコーダの使用例をご紹介します。

 電力会社との電気料金メニューは、使用する電力量の大きさに対応して受電電圧が特別高圧受電(66kV)、高圧受電(6600V)および低圧受電(200V)の3つに大別されます。今回は、高圧受電、電力量500kW未満で契約しているユーザーの例をご紹介します注)

 電気料金は基本料金と使用料金の合計です。基本料金は当月と過去11か月のうち30分間の最大の消費電力量にて決定されます。この30分間で使用できる電力量は電力会社との間で事前に決まっています。これをデマンド契約といいます。もし、契約時に指定された電力量をオーバーした場合、違約金の支払いを要求されたり、以後12か月間はこのオーバーした電力量が基本料金として計算されるため、通常より高い電気料金を支払うことになります。したがって、電気料金を削減するには、この基本料金すなわち30分間の消費電力量を削減する必要があります。

 従来から、デマンド監視装置などにより工場全体の電力監視を行っているユーザーは数多く見られます。しかし、工場全体の供給電力量を管理しているのが一般的で、各設備ごとの電力量として、それぞれどのくらい使用されているのかまでは承知していません。その対策として、PCレコーダが各設備ごとの電力監視を目的に採用されました。

図1 PCレコーダによる電力監視のシステム構成例

図2 図1にシステム構成例を示します。各設備の電気の引込点に電力トランスデューサ(形式:LTWT)を取り付け、積算用パルス出力機能で出力される電力量パルスを積算カウンタユニット(形式:R1M-P4)に入力し、PCレコーダソフトを使って図2に示すように測定した値を表示させます。また、積算カウンタユニットには積算値のリセット機能が装備されていますから、外部からカウンタリセット入力をすることでカウントを“0”にすることができます。タイマリレーなどにより30分に1度カウントを“0”にリセットすることで、デマンド監視装置と同様、30分間の電力量測定が可能になります。

 また、電流測定用のトランスデューサがある場合は電流値を測定することで電力使用量の参考値にすることができます。電力は電圧×電流で求められ、電圧はほぼ一定であるため、電流値を測定すればどの設備が一番多く電力を消費しているかがわかります。交流電流トランスデューサ(形式:LTCE)の出力を直流/熱電対入力ユニット(形式:R1M-GH2)に入力し、PCレコーダソフトによって得られるトレンド画面を監視することにより、どの設備がどのくらいの間、どれだけ電力を消費しているかをリアルタイムに確認することができます。

注)受電電圧や契約内容は各電力会社により異なります。

【(株)エム・システム技研 システム技術部】


ページトップへ戻る