エムエスツデー 2018年1月号

アプリケーション紹介

こんな変換器ご存じですか(その8)

機 種 超高耐圧絶縁変換器 形 式 OT2 / OR2OTT2 / OTR2

 信号変換器や調節計など計装用機器のほとんどが、入力回路、出力回路、電源回路、大地の間でそれぞれ電気的に絶縁されています。絶縁の目的は、シャーシやねじ端子など、利用者が手で触れる箇所に外部からの高電圧が到達することを防ぎ利用者の安全を守ること、入力回路と出力回路の信号の回り込みを防止すること、そしてもう一つは電源回路や信号回路を介する外部からの誘導ノイズを遮断することにあります。
 一般的な計装用機器の絶縁耐圧(電気的な絶縁耐力を絶縁耐圧といいます)は、入力回路、出力回路、電源回路、大地それぞれ絶縁された区域の間に、1000V ACから2000V AC程度の電圧を印加して異常(絶縁破壊)が起きないこととしています。
 エム・システム技研のほとんどの製品では、入力回路、出力回路、電源回路、大地の各絶縁区域間に、2000V ACの電圧を1分間印加したとき絶縁破壊が起きないことを保証しています。
 通常のプラントや工場、ビルなどの現場で使用される計装用機器では、2000V AC程度の絶縁耐圧があれば問題はありません。しかし、数万ボルトを扱う特別高圧の受変電設備、あるいは半導体用イオン注入装置や医療用のX線照射器のように荷電粒子の加速器として数千ボルトを発生する設備に使用する計装用機器については、2000V AC程度の一般計装機器用の絶縁耐圧があっても、内部回路が絶縁破壊を起こす恐れがあるため使用できません。
 このような用途を想定して開発されたのが、超高耐圧光ファイバ絶縁「オプト変換器(形式:OT2 / OR2)」です。オプト変換器は入力ユニット(形式:OT2)と出力ユニット(形式:OR2)の1対から構成され、その間を光ファイバで接続します。オプト変換器の外観と主な仕様を図1に、ブロック図を図2に示します。それぞれのユニットの入力信号と出力信号および電源電圧については、エム・システム技研の他の変換器と同様に豊富な種類をご用意しています。また、入力ユニットと出力ユニットを結ぶ光ファイバケーブル(形式:AMPCP2)としては、用途に対応して10m、20m、30mの3種類をご用意しています。

図1 オプト変換器(形式:OT2/OR2)の外観と主な仕様

図2 オプト変換器(形式:OT2/OR2)のブロック図

 図3のように、入力ユニットを高電圧側設備に、出力ユニットを受信側設備に設置し、その間を光ファイバケーブルで接続すれば、高電圧設備の強電界の影響を受けず、かつ安全に計装信号を取り出すことができます。

図3 オプト変換器(形式:OT2/OR2)の構成図

 オプト変換器の派生製品としては、超高耐圧光ファイバ絶縁「カップル変換器(形式:OTT2 / OTR2)」があります。そのブロック図を図4に示します。「カップル変換器(形式:OTT2 / OTR2)」は、高電圧の電気炉の温度制御に使用されることを目的として、入力ユニットの熱電対温度信号を出力ユニットで受信できるほか、受信側である出力ユニットから入力ユニットへ、電気炉のヒータを制御するパルス信号を光ファイバを経由して伝送することができます。「カップル変換器(形式:OTT2 / OTR2)」を使用することにより、一般的な温度調節器で高電圧を使用する電気炉の温度制御が簡単に、かつ安全に実現できます。
 これら高電圧設備の計装用信号の伝送には、超高耐圧絶縁を安価に実現した、オプト変換器カップル変換器をぜひご利用ください。

図4 カップル変換器(形式:OTT2/OTR2)のブロック図と組合せ例


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