エムエスツデー 2017年10月号

アプリケーション紹介

こんな変換器ご存じですか(その7)

機 種 携帯形電流信号発生器 形 式 C-HCL-A

 このコラムでは、エム・システム技研ならではの、ちょっと変わった変換器をご紹介していますが、今回は少し趣向を変えて、計装システムのスタートアップやメンテナンスに便利な、携帯形電流信号発生器(形式:C-HCL-Aをご紹介します。
 プラント設備やビルの計装システムでは、現場計器からの様々な信号(アナログ・デジタル・パルスなど)を上位の制御コンピュータに取り込んでいます。また制御コンピュータは演算結果である制御出力を現場側の機器に送信しています。
 現場計器から上位コンピュータへの信号、および上位コンピュータから現場機器への信号は、それぞれ信号ケーブルで接続されています。計装システムのスタートアップは、これらの信号ケーブルが現場の正しい系統の計器(圧力計や流量計など)から配線されているか確認する作業から始まります。この作業をループチェックと呼んでいます。
 計装システムのループ数は、設備の大きさにもよりますが、プラント設備の場合で数千ループ、大型ビルの場合には数万ループに及ぶこともあり、スタートアップ時にはこのループチェックの作業効率を上げることが、経費節減、工期短縮につながります。
 一般に、現場から上位コンピュータへ送られる圧力や流量・温度などのアナログ信号や、また上位コンピュータから現場の制御弁などへ送られる操作信号としては4〜20mA DC信号が用いられています。ループチェックを行う場合、現場から4〜20mA DCの模擬信号を上位コンピュータへ送信するための電流信号発生器を用いますが、現場側に電流信号発生器を動作させるための100V AC電源がない場合が多く、そのためだけに仮設電源を用意するなどの余分な作業が発生することがあります。また、圧力や流量の伝送器が2線式の場合は、上位側で伝送器の駆動電源(24V DC)をループ配線に印加しているため、電流信号発生器を用いることができません。
 このような不具合を改善し、ループチェックの効率を上げたいという現場からの要求にお応えして開発したのが、携帯形電流信号発生器です。図1携帯形電流信号発生器の外観と仕様を、図2に各部の名称と寸法を示します。

図1 携帯形電流信号発生器(形式:C-HCL-A)の外観と主な仕様

図2 携帯形電流信号発生器の各部名称と寸法

 携帯形電流信号発生器本体の大きさは、W60×H100×D23mmと小形で、重量も電池込みで約120gと軽量なので手軽に持ち運べます。電流出力は切換スイッチで、4mA(0%)、12mA(50%)、20mA(100%)の3段階出力と、ボリューム可変抵抗器設定による任意電流出力を選択できます。任意電流出力の場合は、モニタ端子にデジタルテスタなどを接続して、出力電流を確認してください。

図3 流量信号のループチェック

図4 弁開度のループチェック  携帯形電流信号発生器には、4線式、2線式のモード切換スイッチがあり、4線式モードでは直接4〜20mA DC信号を出力しますが、2線式モードでは2線式伝送器の模擬信号を出力します。また、現場で制御弁単体の動作確認やストローク調整を行いたい場合は、4線式モードで直接4〜20mA DC信号を制御弁に入力することができます。
 計装システムのループチェックや機器の現場調整には、小形軽量で、かつ2線式伝送器にも対応した携帯形電流信号発生器C-HCL-A)をお役立てください。

 なおエム・システム技研では、このほかにも入力値に関係なく前面パネルでの操作で任意の出力を出せる、ループチェック機能付の「電力マルチメータ(形式:54U2」や、有機ELディスプレイ採用の「みにまる® M2Eシリーズ」をご用意しています。併せてご利用くだされば幸いです。

図5 「電力マルチメータ」および「みにまる®M2Eシリーズ」の外観

 

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