エムエスツデー 2016年10月号

アプリケーション紹介

こんな変換器ご存じですか(その3)

機 種 セルシン変換器 形 式 MXS

セルシン*1とは、発信器側の回転軸の回転角度を検出し、遠方に置かれた受信器側の回転軸を同期して回転させ、角度情報を遠隔伝送する一種のサーボ機構です。セルシンの構造と結線を図1に示します。

図1 セルシンの構造と結線

発信器と受信器は同じ構造をしており、その構造は巻線形誘導電動機とほぼ同じです。回転軸に単相の一次巻線があり、固定子には二次巻線としてY結線された三相巻線が巻かれています。一次巻線に単相の交流電圧を印加すると、発信器側の回転軸の回転に同期して受信器側の回転軸が回転し、遠方にある発信器の回転軸の回転角度を遠隔表示により計測することができます。
セルシンの歴史は古く、第二次世界大戦中は射撃管制装置や航空機のジャイロ装置と連動した機体の姿勢制御などに使用されていました。しかし、近年は電子式のデジタル制御回路に置き換わり、このような分野ではほとんど使われなくなっています。
しかし、セルシンは、コンデンサなどの電気的な経年劣化部品がないことや、ブラシレスであることなど構造上堅牢で信頼性が高いため、現在でも屋外に設置されている水門の開度監視やフロート式のレベル計などに数多く使われています。セルシンの回転角信号は交流の位相信号であるため、発信器と受信器からなる一対のセルシンから計装用統一信号(たとえば4~20mA DCなど)を取り出すには、別途「信号変換器」が必要になります。
エム・システム技研の「セルシン変換器(形式:MXS)」では、発信器と受信器の間の5本の信号線にセルシン変換器を並列に配線するだけで、セルシンの角度信号を計装用の統一信号として簡単に取り出すことができます。

デジタル設定形セルシン変換器  形式:MXS 基本価格:90,000円

エム・システム技研製 セルシン変換器の特長

  • 取付け取外しが簡単なプラグイン構造です。
  • 前面パネルに現在値を表示します(角度の実量表示と%表示を選択できます)。
  • ゼロ・スパン調整や、出力の種類またはレンジの変更が前面パネルで簡単に設定できます。
  • 入出力信号間の折れ線リニアライズ機能を搭載しています(最大32点折れ線)。
  • 移動平均機能を搭載しています(150ms/回 回数は0回、4回、8回、16回、32回から選択)。
  • 入力値に関係なく出力値を自由に変化させるループテスト機能を搭載しています。

アプリケーションとしては以下のような事例が多くあります。
既設の設備にセルシンが使用されていて、それらの信号をコンピュータに取込みたい、または遠方の事務所で監視したいという場合には、取付けと設定が簡単に行えるセルシン変換器をご検討ください。

セルシン変換器 アプリケーション 図

*1 セルシンとは、回転軸の回転角度を計測または制御するために使われる多相回転機の総称で、元来は米国GE社の商品名であるため、日本での公的な名称は、「シンクロ電機」ということになっていますが、一般には「セルシン」と呼ばれています。


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