エムエスツデー 2019年4月号

お客様訪問記

920MHz帯マルチホップ無線機器くにまる®を用いて、
「ユーティリティ設備の見て廻り検針」から脱却しました

甲南油脂(株)様の「ユーティリティ設備監視システム」に採用された、くにまる®MSRpro®

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、兵庫県神戸市にある甲南油脂(株)を訪問し、ユーティリティ設備監視システム改善のためにご採用いただいたエム・システム技研のPCレコーダソフトウェア MSRpro(形式:MSR2K-V6)と920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまるについて、生産部 工務物流課 課長 井上 敦之様と同課の係長 吉田 幸史様にお話を伺いました。

データ記録の自動化を検討

 [エム・システム技研、以下エムと略称]この度の自動化システム導入の経緯についてお聞かせください。

 [吉田様]今までは、工場内にあるユーティリティ設備における「電力」「水」「蒸気」などの使用量を記録するため、10箇所ある測定箇所のすべてを1日1回見て廻り、総数87測定点の値を手書き記録したのち、持ち帰ったデータをPCのExcelに入力して、月報にまとめる作業を1人で行っていました。この度は、その作業を自動化することを目的にしてシステム構築を検討しました。

 [エム]今回のシステムの構成をお聞かせください。

 [吉田様]屋上高架水槽など4箇所の各現場のセンサ(流量計と電力計)から出力されるパルス信号を、くにまる子機(形式:R3-NW1)に実装されているリモートI/O R3シリーズのI/Oカードに取込み、920MHz帯無線を介して3階事務所に設置したくにまる親機(形式:WL40EW2)まで伝送しています。くにまるで伝送したデータを監視・記録するため、パソコンにインストールしたMSRproによって帳票を作成しています。

運用後のメンテナンスが容易

 [エム]エム・システム技研製品をお選びいただいた理由は何でしょうか。

 [吉田様]自分たち自身で、システム設計とエンジニアリングを行うことが目的でしたので、エム・システム技研製品を使用すれば、自分たちが希望するシステムを構築できることが最大の理由でした。しかし、設定したことがない機器のエンジニアリングを行うことには大きな不安もありました。この点についてはエム・システム技研のセミナーを受講することで、MSRproくにまるの設定を比較的容易に効率良く進めることができました。自分たちでシステムに関するスキルを身につけることで、運用後のメンテナンスや今後、測定点数が増えた場合にも柔軟に対応ができることが期待されます。
 また、採否を判断する時点で、無線の電波が実際に届くかどうかくにまるによる「導入前試験」を無償で実施していただき、その結果、電波の受信レベルに問題がなかったことも、安心して踏み切った要因でした。無線のため通信が途切れることのある説明も受けましたが、今回のシステムでは現場のくにまる子機にあるリモートI/O R3シリーズ積算パルス入力カード(形式:R3-PA16)で入力したパルスを積算・保存しているため、万一無線通信が途切れても、復帰したときに積算値が欠落することなく確実に取得できるため、安心して採用できました。

 [エム]システム構築を行われたご感想をお聞かせください。

 [井上様]設置は、普段電気工事を依頼している業者に依頼しました。また、機器費用に関しては、エム・システム技研製品は一般的に他社製品よりも安価なので、投資効果が高いと判断しただけでなく、エンジニアリングを自分たちで行うことにより費用を削減するなど、コストダウンへの取組みに対しても一定の効果があったと思っています。

甲南油脂(株)様の「ユーティリティ設備監視システム」に採用された、くにまる®とMSRpro® システム構成図
甲南油脂(株)様の「ユーティリティ設備監視システム」に採用された、
くにまる®とMSRpro® システム構成図
拡大図

「見て廻り検針」が削減し、休日分も自動取得

 [エム]新しいシステムを運用されてみて、その後はいかがですか。

 [吉田様]毎日の見て廻り検針とデータ入力作業がなくなり、大変楽になりました。とくに食品を扱っている工場であるため、クリーンルーム内への立ち入りをなくすという従来からの希望も実現できました。また、今まで休日は検針をしていなかったため、休み明けの検針では休日分が加算された値しか分かりませんでしたが、休日分のデータも自動取得できるようになりました。昨年(2018年)は自然災害が大変多い年で、神戸市も暴風雨に曝される日が何度かありましたが、そのような日でも、このシステムのおかげで建物の外にわざわざ検針に行かなくてよくなり、大変助かりました。

品質管理の精度が一層良くなりました

 [井上様]今までは1日に1回しか記録できず、決まった時刻の記録ではなかったデータが、帳票で1時間毎に使用量が自動的に記録できるようになり、この結果、製品製造における原単価の算出が可能になりました。また、原料の配合に使用する水量の管理が詳細になったことで、生産した製品の水分量のトレーサビリティができるようになり、製品の品質管理の精度が一層良くなりました。また、水を使用していない夜間に「0」以外の数値が入ると「漏れ」が発生していることになります。おかげでクーリングタワーの漏水故障を早期に発見し、修理することができました。

 [エム]今後のご予定などがありましたらお聞かせください。

 [吉田様]今回は1期工事が完了した状態です。それは全体で87点の検針のうち20点はまだ「見て廻り」の場所があります。今後はこれらを自動化していくことと、更に細かく製造ライン別のデータ取りを検討しています。今後もこのシステムを拡張させて効果的に活用していきたいと考えています。

 [エム]本日はお忙しい中をありがとうございました。

採用された製品のご紹介

  • MSRpro®

    2048チャネル対応 クライアント/サーバ形 PCレコーダソフトウェア MSRpro®(形式:MSR2K-V6)

    形式 MSR2K-V6

    入力機器からの信号をパソコンのハードディスクに収録する工業用ペン式記録計(ペンレコーダ)用ソフトウェアです。
    Serverが収録したデータを使用して、日報・月報・年報の各種帳票を自動作成します。

  • ワイヤレスゲートウェイ

    ワイヤレスゲートウェイ 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる® 親機(形式:WL40EW2)

    形式 WL40EW2

    Modbus/TCP(Ethernet)、920MHz帯特定小電力無線機器「くにまる」用ゲートウェイです。

    ワイヤレスゲートウェイ くにまる® 親機 WL40EW2 システム構成図

  • リモートI/O R3シリーズ
    通信カード

    リモートI/O R3シリーズ 通信カード 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる® 子機(形式:R3-NW1)

    形式 R3-NW1

    リモートI/O R3シリーズの通信カードで、920MHz帯特定小電力無線局子機を実装しています。

    リモートI/O R3シリーズ 通信カード くにまる® 子機 R3-NW1 システム構成図

  • ワイヤレスゲートウェイ

    ワイヤレスゲートウェイ 920MHz帯マルチホップ無線機器 くにまる® 子機(形式:WL40MW1)

    形式 WL40MW1

    Modbus-RTU、920MHz帯特定小電力無線機器「くにまる」用ゲートウェイです。Modbus-RTUの通信プロトコルを無線化してModbusのリモートI/Oと接続できます。

    ワイヤレスゲートウェイ くにまる® 子機 WL40MW1 システム構成図

甲南油脂(株)のご紹介

 甲南油脂(株)は兵庫県神戸市にあり、1992年の操業時から家庭用・業務用マーガリンやショートニングなどの食用油脂製品を製造しています。2017年11月には1FSSC22000(Food Safety System Certification 22000)の認証を取得しました。現在はフィリング用チーズなども製造しています。

甲南油脂(株)

本システムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200


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