エムエスツデー 2019年1月号

お客様訪問記

データマル®で火山ガス濃度を連続的に遠隔監視し、
ゴンドラを利用されるお客様への注意喚起と安全対策を行なっています

箱根ロープウェイ(株)の火山ガス濃度計測に
採用されたデータマル®(形式:DL8

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、神奈川県足柄下郡箱根町にある箱根ロープウェイ(株)様を訪問し、「箱根ロープウェイ」の火山ガス濃度計測に採用されたエム・システム技研のデータマル(形式:DL8)について、箱根ロープウェイ(株) 索道部 主査 渡邊 敬介 様、今回の導入にあたりシステム提案から構築まで行われた光明理化学工業(株)特機部 小林 康晃 様にお話をお伺いしました。

ガス濃度が閾値を超えたらメールで通報

 [エム・システム技研、以下エムと略称]システムの概要や構成について教えてください。

 [渡邊様]大涌谷おおわくだにでは、常時、火山ガスが噴出しています。箱根ロープウェイを利用されるお客様への注意喚起と安全対策の目的で、SO2(二酸化硫黄)のガス濃度を計測しています。計測したガス濃度に閾値を設け上限値を超えると、注意喚起やゴンドラを運用停止するなどの対策を講じます。また、箱根ロープウェイのホームページでリアルタイムのガス濃度を公開しています。

 [小林様]システム導入の第一段階として、大涌谷駅の桃源台とうげんだい方面行のホームと早雲山そううんざん方面行のホームにそれぞれデータマルを1セット設置しました。SO2ガス濃度の計測には定置形ガス検知警報器(形式:TA-480)を使用しています。計測したガス濃度は、瞬時値と5分間の平均値に分けてデータマルへ入力しています。瞬時値についてはそのまま入力し、平均値は、一度デジタル式演算器(形式:M6SXF1)に入力し、移動平均フィルタ機能を使用しデータマルに入力しています。データマルにはモバイルルータを接続し、閾値を超えたとき関係職員にメール通報を行います。
 また、データマルに標準で搭載されているWeb画面はFTPで転送することができるため、その画面を箱根ロープウェイ様のサーバへ転送し、ホームページで利用されています。メール通報を受けた際には、司令所にいる職員がホームページの画面でガス濃度の値を確認し、誤報ではないことを確かめた上で緊急時の運用対策を行います。

火山ガス濃度を0.1ppm刻みで計測

 [エム]システム構築で苦労された点はございますか?

 [渡邊様]以前の大涌谷園地は、SO2濃度の注意喚起閾値を2.0ppm・5.0ppm・10.0ppmとしていましたが、今回の火山活動の影響により、高感受性者の方やアレルギー体質の方に対する影響や他火山地域の基準値なども参考に、0.2ppmという数値を計測することになりました。
 当初はハンディタイプの検知器でSO2濃度の計測を行なっていましたが、このような微小の値をどのように計測して良いのかわからなかったため、光明理化学工業様に相談しました。

 [小林様]一般的なハンディタイプの検知器では、計測値が0.0 ppm~0.5ppm付近までの値を補正し0.0 ppmを表示するのが一般的なため、0.2ppmは計測できませんでしたが、今回は0.1ppmから表示ができ、0.2ppmでメール通報が可能なゴンドラ用火山ガス計測器を試作、提案し、社内およびゴンドラで検証の結果、良好な結果が得られたため、箱根ロープウェイ様に採用していただくことになりました。
 また、ゴンドラは、空中で隔離されている空間のため課題がありました。まず、振動の影響が懸念されましたが、箱根ロープウェイのゴンドラは、2本のロープでゴンドラを吊り下げる「フニテル方式」で、風に対する高い安定性が得られる構造のため、測定には影響はほぼありませんでした。
 また、ゴンドラ内には電源がないため、リチウムイオンバッテリを検討したところ、1回の充電で1日半は動作することを確認できたので採用しました。
 司令所との通信は携帯電話回線を利用するなどし、課題を全て解決することができました。

箱根ロープウェイ(株)の火山ガス濃度計測に採用されたデータマル®(形式:DL8) システム構成図
箱根ロープウェイ(株)の火山ガス濃度計測に採用された
データマル®(形式:DL8) システム構成図
拡大図

データマルの導入で緊急時の対処が迅速に

 [エム]新しいシステムを運用されてみていかがですか?

 [渡邊様]システム導入前は、職員がハンディタイプの検知器を数箇所に設置したり、ゴンドラの中に検知器を持って乗り込んだりして見て回って計測していました。
 データマル導入後は、ガス濃度の記録やメールによる通報ができるようになり、司令所に居ながらにして、各所のガス濃度を連続的に確認ができ、緊急時の対処が迅速に行えるようになり助かっています。

 [エム]エム・システム技研製品を使用されてみていかがですか?

 [渡邊様]エム・システム技研と光明理化学工業の製品などを組合せて素晴らしいシステムになっています。安全にお客様をお迎えできる環境が作れたことに感謝しています。

 [小林様]火山ガス濃度が高い場所に設置するため、その点に関してエム・システム技研に相談したところ、耐腐食効果の見込めるラバーコーティングの製品オプションを提案していただきました。ガス濃度が高い中での運用にもかかわらず、今のところ故障はありません。

 [エム]今後はどのようなことを検討されていますか?

 [小林様]火山ガス濃度が高い場所であり、かつ特殊な場所で製品が稼働しています。運用してまだ3年ほどですので、これから課題が見つかってくると思います。課題の克服と大涌谷で培った経験をもとに他の火山ガス現場などでも提案していこうと思っています。

 [エム]本日はお忙しい中ありがとうございました。

採用された製品のご紹介

  • データマル®

    IoT用端末 データマル® DL8-D

    形式 DL8-D

    Web画面による遠隔監視機能、データロギング機能、イベント通報機能などを備えたIoT用端末です。

    基本機能
    • 簡易Webサーバ(トレンド画面など)
    • データロギング
    • メール通報機能
    • FTP機能
    • Modbus/TCP通信機能(I/Oマッピング機能付)
  • スプリング式端子接続形超薄形変換器
    M6Sシリーズ

    デジタル式演算器

    スプリング式端子接続形超薄形変換器 M6Sシリーズデジタル式演算器

    形式 M6SXF1

    12種類の演算機能が選択できる1入力デジタル式演算器です。5.9mm幅の超薄形変換器です。

箱根ロープウェイ(株)のご紹介

箱根ロープウェイ  箱根ロープウェイは富士箱根伊豆国立公園内の公園事業として1959年12月に早雲山駅~大涌谷駅間(約1.5km)が開業し、続いて1960年9月に大涌谷駅~姥子駅~桃源台駅間(約2.5km)の営業を開始しました。以来、全長営業キロ約4kmで、今日まで58年にわたり、7,800万人以上のお客様が乗車され、「豪壮」な大涌谷、「優雅な富士・芦ノ湖」の景色をご覧いただいています。

光明理化学工業(株)のご紹介

 光明理化学工業は本社・開発拠点を神奈川県川崎市に置き、簡易ガス測定の分野で、検知管法や、特徴のある様々なセンサ類を用いた測定器を開発し、自動車排気ガス、船舶、発電所、火山などの様々な分野におけるガス関連の安全を支えています。近年、火山の噴火が頻発していることから、噴火予知や、終息後の安全確保など、火山性ガスの計測器の開発にも力を入れています。

大涌谷の火山ガス

本システムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200


ページトップへ戻る