エムエスツデー 2018年4月号

お客様訪問記

IoT時代のデータロガー「Webロガー2(形式:DL30)」の使用で
遠隔監視が極めて容易になりました

鹿児島県南さつま市水道課に採用された「Webロガー(形式:TL2W2-S)」と「Webロガー2(形式:DL30)

(株)エム・システム技研 システム技術グループ

 今回は、鹿児島県南さつま市水道課に採用された現場設置形データロガー「Webロガー(形式:TL2W2-S」および「Webロガー2(形式:DL30」について、南さつま市水道課施設係長 六田 浩行 様、同課主査 松尾 潤 様、並びに設備構築を担当された(株)進栄テクノスの社長 松元 純浩 様 、同社 川畑 典裕 様、柿内 翔太 様、および鶴迫 勇利 様にお話を伺いました。

 [エム・システム技研、以下エムと略称]本システムの導入経緯について教えてください。

 [松尾様]従来、上水道施設の監視は主にNTT専用回線を利用したテレメータ機器で運用し、エム・システム技研製品も一部使用していました。しかし、簡易水道施設など小規模な設備に至るまで全てを専用回線でシステム構築すると毎月のランニングコストが膨大になってしまいます。そこで、簡易水道施設ではランニングコストを抑えるため、6年前からエム・システム技研のTL2W2-Sを導入して、一般公衆回線を利用したダイヤルアップ接続による通信を行っていました(図1)。その後2017年からは、エム・システム技研から新発売されたWebロガー2を使用しました。Webロガー2の通信回線はNTTドコモの携帯電話用無線回線を利用しています(図2)。

 [川畑様]既存のTL2W2-Sには、トレンドや現在値などを表示するWeb画面を標準搭載していますが、従来運用してきた監視システムと同様に機場のグラフィック画面も表示したいとのご要望がありました。TL2W2-SにはJavaアプレットを使用してユーザ独自のWeb画面を搭載できる機能があるため、機場ごとに専用のグラフィック画面を作成しました。また、TL2W2-SのFTPクライアント機能を使用して、8箇所の現場からTL2W2-SでロギングしたCSVファイル形式の帳票データを市役所の事務所に設置したFTPサーバのPCへ自動送信するようにしました。PCが受信したデータは、現場ごとに指定されたフォルダに保存されるため、管理し易くなっています。PCは、TL2W2-Sから送信されてくるデータを受信するために24時間電源を入れて稼働させています。

Webロガー2はユーザ定義画面の作成が簡単

 [エム]TL2W2-SからWebロガー2に変更して何か変わりましたか?

 [川畑様]まず、グラフィック画面の構築方法が大きく変わりました。グラフィック画面はWebロガー2用ユーザ定義画面作成ソフトウェア(形式:DL30 Web Designerで作成しました。DL30 Web Designerはエム・システム技研のホームページから無料でダウンロードできるソフトで、Javaの専門知識がなくても簡単に作画ができるため、作業工数を削減することができ大変助かりました。帳票データの保存方法もTL2W2-Sと同様にFTPクライアント機能を使用してもよかったのですが、Webロガー2ではEメールに帳票の日報、月報、年報ファイルを添付する機能が追加されたので、帳票はEメールでPCに送信する方法を採用しました。現場が1箇所だけならメールソフトで受信したメールに添付されているファイルを手動で保存しても構いませんが、現場の数が増えてくると現場ごとにファイルをフォルダに仕分けする作業に手間がかかります。そこで、メールソフトにあるマクロ機能を使用して、自動的に現場ごと、およびファイルの種別ごとに分類させてフォルダに保存するようにしました。PCの電源を入れてメールソフトを起動するだけで、Webロガー2からのメールを自動で受信しファイルを振り分けることができるので、夜間、休日など勤務時間以外はPCを起動しておく必要がなくなりました。

Webロガー2はどこにいても監視できます

 [エム]Webロガー2を導入されてのご感想をお聞かせください。

 [松尾様]TL2W2-Sのときは市役所のPCからしか監視画面を見ることができませんでしたが、Webロガー2はどこにいてもスマートフォンなどで容易に監視画面を見ることができるようになり非常に重宝しています。
 ランニングコストの面では、NTTドコモの回線使用料は安価な定額料金プランで契約していて、月額2,000円程度です。NTT専用回線は現場間の通信距離に対応して使用料が高くなりますが、携帯電話回線(無線)は通信距離に関係なく、NTT専用回線を利用していたときと比較して、ランニングコストは5分の1程度になりました。ただし、回線の通信速度は最大128kbpsと制限されているため、Webロガー2のトレンド画面など、容量の大きなWeb画面を表示するときに時間はかかります。しかし、TL2W2-Sで一般公衆回線を使用していたときと比較すれば、むしろ短くなったので気になりません。

 [川畑様]進栄テクノスでは、別の案件でWebロガー2とNTTドコモの携帯電話回線を利用して、IPテレメータとしてポンプの運転制御や異常監視などに使用したことがあり、Webロガー2を専用回線テレメータの代替えとして使用できることが分かりました。
 鹿児島県は、ほぼ毎年台風が通過し豪雨の被害が多い地域です。NTT専用回線の場合、台風による倒木、豪雨による土砂崩れなどで電話線が切断され、長期間通信障害が発生することが考えられます。しかし携帯電話回線は、もしもの場合でも移動基地局車を使って、比較的早期の復旧ができるとNTTドコモから説明を受けたことがあり安心しています。今後は、現在専用回線を使用している施設にもWebロガー2を使用したシステムへ更新したいと考えています。

 [エム]本日はお忙しい中をありがとうございました。

鹿児島県南さつま市水道課に採用された「Webロガー(形式:TL2W2-S)」と「Webロガー2(形式:DL30)」システム構成図
鹿児島県南さつま市水道課に採用された
「Webロガー(形式:TL2W2-S)」と「Webロガー2(形式:DL30)」システム構成図
拡大図

採用された製品のご紹介

  • Webロガー2

    IoT時代の現場設置形データロガー Webロガー2 DL30

    形式 DL30

    基本価格:150,000円 ~

    小形ユニットに以下に挙げる5つの便利な機能を内蔵しているIoT時代を担う現場設置形のデータロガーです。
    ①ロギング機能 ②帳票作成機能
    ③遠隔監視 Webサーバ機能 ④メール通報機能
    ⑤通信制御機能

  • Webロガー

    I/O内蔵形、公衆回線用 Webロガー TL2W2-S

    形式 TL2W2-S

    基本価格:300,000円 ~

    収集・蓄積した現場データをパソコンのWebブラウザにて監視できます。入力データを監視し、異常時はFAXまたはEメール・音声にて通報します。

鹿児島県南さつま市のご紹介

 鹿児島県南さつま市は鹿児島市南西約30km に位置し、薩摩半島の西側で東シナ海に面しています。市北部は日本三大砂丘の吹上浜、市南部はリアス式海岸につながり、数々の名勝があります。2005 年11月に加世田市、笠沙町、大浦町、坊津町および金峰町の1市4 町が合併して誕生しました。

吹上浜

本システムについての照会先:
(株)エム・システム技研
カスタマセンター システム技術グループ
TEL:06-6659-8200


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