エムエスツデー 2018年1月号

ごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 戦後間もない昭和22年(1947年)に、いわゆる「6・3・3制」への学制改革が実施され、「新制中学校」が創設されました。私の年代は奇しくもその第一期生に当たり、私は「大阪市立阿倍野第四中学校(現、「大阪市立松虫中学校」)に入学し、同校を卒業しましたが、つい先日、昨年(2017年)の11月に同校の「創立70周年記念パーティー」が、大阪・難波の「ホテルモントレ グラスミア大阪」で開催されました。
 記念パーティーでは、政治家の先生方に続いて、元PTA会長の代表の方々のご挨拶、現校長のご挨拶と続き、第一期生の順番が廻ってきました。私は第一期生の2番手として壇に登りました。そこで話した内容は、阿倍野第四中学校から車で10分くらいの南津守という所に私が創業した「エム・システム技研」という会社があって、昨年創業45周年を迎えたこと、私が在校当時の阿倍野第四中学校には美術担当の佐藤康憲先生がおられて私にラジオの作り方を教えてくださったこと、それ以降私は毎週日本橋の電気屋街にある岡本無線で部品を買ってきて、並四ラジオ(当時最も普及していた受信方式のラジオ)からスーパーヘテロダイン(中間周波増幅器を持った高級ラジオ)まで作れるようになったこと、その後私は大阪大学の通信工学科に進み、卒業後は東京に本社工場があるオートメーション機器のメーカー「北辰電機」で14年間修業し、37歳の時に電子式計装機器の製造メーカーを目指してベンチャービジネス「株式会社エム・システム技研」を立ち上げたこと、更には創業時は資金繰りに振り回される時期もあったが何とか凌ぎきり、電子技術の急速な普及の波に乗って安定成長を続け、創業45周年の昨年には阿倍野税務署の署長が優良法人企業に授与する表敬状を携えて来社されたことなどを話し、松虫中学のOBにも大きなチャンスがあることを伝えました。

エム・システム技研の創立45周年誌を発行しました
エム・システム技研の創立45周年誌を発行しました

チップマウンタを使用したエム・システム技研の製造ライン  さて計装機器業界を振り返ってみると、バブル経済が崩壊して四半世紀が過ぎ、その間エム・システム技研を取り巻く環境は大きく変わりました。
 PA(プロセスオートメーション)の世界は新規需要が陰をひそめ、成長産業とはいえなくなりました。それでも高度成長期に建設された工場群は現在も健在で、しっかり生産活動を続けています。しかしそこで使用されている電子式計装機器は、15~20年で寿命を迎えてリプレース時期に入ります。ここで問題になるのは、電子部品の急速な小形化と高性能化です。電子式計装機器も例外ではなく新製品開発を行って小形化と高性能化を果し、20年前に出荷したものが次々と廃形にされ更新されている姿が多く見られます。
 その中にあってエム・システム技研は、現在全国の種々の生産現場で使用されている膨大な計装システムを、いつまでも便利にご使用いただける条件をご提供する活動に注力して参りました。その結果、寿命の来た工業計器のリプレース需要を一手にお引き受けできる品揃えと供給体制をほぼ完成できたのではないかと思っております。自社製品に関しては「廃形をしない」というポリシーを打ち出して、電子部品メーカーからエム・システム技研製品に使用中の電子部品の供給停止の予告を受けると、直ちにその部品を使用している全機種を新しい部品を用いて同じ機能を継承するための設計変更に着手します。それと同時に、設計変更に着手した同機種が製造キックオフをするまでに予想される生産量に匹敵する現在使用中の部品の数量を弾き出してその部品の在庫発注をします。このようにして基本形式で4000機種にものぼる全機種に対して、この設計変更作業をする仕組みが社内標準としてでき上がっています。この仕組みを実現するためには、巨大なサーバコンピュータに全機種の変種変量生産を可能にする膨大なデータが積み上げられており、新たにご注文をいただくと、生産管理部門が直ちに現場のチップマウンタを始め、全生産工程に必要なデータをサーバコンピュータからダウンロードし、その指示に従って全生産工程が稼働します。でき上がった製品はお客様のご希望の納期より早過ぎず、遅過ぎず、タイムリーにご要望の現場にお届けする形に構成されています。
 今では、従来エム・システム技研製品が使用されていなかった計装設備のリプレース需要も数多くご用命いただけるようになりました。また同業他社が廃形にした機種と同等機能の製品も新規に設計して商品化を行っており、お客様から大変喜んでいただけるケースが多くなっています。これらの作業を可能にしている条件の一つに、エム・システム技研が「機器単体の供給」に徹していることが挙げられます。そして全てのご注文は販売代理店を通じていただく形になっていますので、エム・システム技研は機器の生産に集中することができています。

 FA(ファクトリーオートメーション)の世界はPLCの発達と共に大きく発展しております。エム・システム技研の製品は従来PA用に品揃えをしてきたつもりでいましたが、いつの間にかFA市場にも深く浸透しており、手軽に使えるエム・システム技研の汎用工業計器は、多くの機械や装置に組込んで便利にご使用いただいております。FAの世界はロボット化が進み、素速く回転してピタリと止めるモーションコントロールが急速に普及し、そのために使用される高速通信系統にエム・システム技研のリモートI/O製品が数多く使用されるようになりました。ほとんどのオープンネットワークに対応したリモートI/Oシリーズの製品の幅をどんどん広げた結果、リモートI/O製品は毎年指数関数的な成長を継続しています。
 ここ数年には新しいIoT環境を活用した各種設備のリモートメンテナンスを可能にする、インターネットに接続して計測データをリアルタイムに世界のどこからでも監視できる機器(商品名「データマル®」)を発売し、ご好評をいただいております。
 また現場に設置されたセンサからの計測データを無線伝送して集中監視ができる920MHz帯の特定小電力無線機器(商品名「くにまる®」)を発売して順調に成長して参りました。現場に分散配置された計測機器からの各種の信号を「くにまる®」の子機に入力することで、配線工事をすることなく最大1km以内にある親機側に伝送することができます。親機に記録計を接続すると無線記録計になります。またこの信号を「データマル®」を用いてインターネットに接続すると、世界中からリアルタイムにそれらの計測信号を取出すことができます。これらの無線機器はこれからのIoT時代に多くのお客様に歓迎していただけるのではないかと今から楽しみにしております。
 『MS TODAY』誌の愛読者の皆様にも、これらを用いて、「多くの現場の人手による見て廻りメンテナンス方式」からの脱皮に踏み出していただけますならば幸いです。今後ともよろしくお願い申しあげます。

エム・システム技研がご提案する無線システムの構成例

リニューアルしたJR東京駅の「丸の内駅前広場」

(2018年1月)


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