エムエスツデー 2014年7月号

アプリケーション紹介

シングルループコントローラのアプリケーション

第2回 定量出荷調節システム 機種 バッチ機能付 SC200B

バッチ機能付 シングルループコントローラ 形  式:SC200B 基本価格:500,000円

 今回は、バッチ機能付 シングルループコントローラ(形式:SC200B *1 を使用した「定量出荷調節システム」のアプリケーション事例をご紹介します。  

 前回ご紹介した「簡易定量出荷システム」は、電磁弁を操作して、あらかじめ決まった開度による2段階でバルブを制御しました。「定量出荷調節システム」では、バッチ制御を行う際に、SC200B内部のプログラム出力機能を利用して、流量制御ループによる調節弁のPID制御を行うことができます(図1)。  

 プログラム出力とは、あらかじめ設定しておいたプログラムパターンに沿って目標値を変化させる機能で、SC200Bがもつ計器ブロックの1つ「バッチ・プログラム設定」ブロックを使用します。この機能は、流量計からのパルス列信号の積算値に連動した信号を出力し、調節弁をPID制御するときは、このプログラム出力を流量制御ループの目標値(SP)にします。そして、流量計から出力されるパルス列信号を、瞬時変換した測定値をPVとして、PID制御を行います。また、切替によりPIDの操作量MVを使用せずに、プログラム出力した値で直接調節弁を制御すること(弁開度設定)もできます(図2*2

図1 定量出荷制御システム構成例

図2 ブロック図

定量出荷調節システムの概要

 

 (1) バッチ開始の準備を行います。SC200Bの画面にある「リセット」ボタンを押し入力パルス積算値をリセットして"0"にします(図3 )。バッチのスタートは、外部から接点信号をSC200Bに入力するか、または液晶パネル前面に割り付けられたスイッチによって行います。

 (2)バッチスタートと同時に「バッチ・プログラム設定」ブロックの動作スイッチ(S1)をONにしてプログラム出力を開始し、出力値を初期値20%から設定された上昇傾斜率K 1(%/s)の設定に沿って上げていきます(図3 )。制限設定75%に到達すると、出力は保持されます(図3 )。このプログラム出力を目標値としたPID制御も開始され調節弁の開度を制御します。

 (3)入力パルスの積算値が「初期流量積算制限値」に到達したとき、今度は定常値100%まで上昇して、目標値が100%となった調節弁の開度はほぼ全開となります。(図3 )。

 (4)バッチ制御中に一旦計量を中断したい場合は、外部からストップ指令の接点信号(図3 )をSC200Bに入力して中断スイッチ(S2)をONにすると、プログラム出力を下降傾斜率K 2(%/s)に従って徐々に下げて調節弁を絞っていき、スローダウン設定値の50%まで下がってから調節弁を全閉(0%)にします。ストップ解除により調節弁の目標値は、再度、初期値20%から徐々に上がっていき100%となります。

 (5)積算値が「プリバッチ値(バッチ設定値-プリバッチ設定値)」に到達すると、スローダウン設定値の50%までプログラム出力を絞ります(図3 )。

 (6)さらに積算値が「バッチエンド値(バッチ設定値-漏れ予測値)」に到達すると、プログラム出力を0%にして調節弁を全閉にします(図3 )。調節弁を閉じてから、ある程度流れる量を見込むことができる「漏れ予測値」を設定しておくことによって、より精度の高い計量が可能になり、万一、調節弁の不具合による漏れ量が多い場合は、「漏れ検出設定値」をあらかじめ設けておくことで警報を出力します。

図3 バッチ進行とプログラム出力のタイミングチャート例

 SC200Bのエンジニアリング画面にはPIDのチューニング画面があり、PIDのパラメータを入力し、入力したパラメータの挙動をショートトレンドグラフで確認することもできます(図4)。

図4 チューニング画面

*  *  *

 このように、SC200Bはバッチ制御と調節弁のPID制御を同時に行うことができます。

*1 『エムエスツデー』誌2012年7月号「バッチ機能付シングルループコントローラ SC200B」参照。
    SC200Bの詳細形式、詳細仕様についてはホットラインまでお問合せください。
*2  弁開度設定とPID制御ではプログラム出力のパターンが異なります。


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