エムエスツデー 2008年9月号

『エムエスツデー』200号発行記念のごあいさつ

 『エムエスツデー』読者の皆様、こんにちは!

 私どもが『エムエスツデー』誌の発行を始めて16年余、本号で200号になります。その間一貫して、時代の変化そして計装システムを取り巻く環境の変化を敏感に反映したエム・システム技研の新製品の解説や、そのPRを続けて参りました。技術革新は際限なく続きますので、この『エムエスツデー』も300号、400号と続けてゆけるものと思います。引続きよろしくご愛読のほど、お願い申しあげます。

1992年4月創刊

 さて、7月初旬に、ウィンブルドンへ全英オープンの観戦に行く機会を得ました。片道11時間余の空の旅になりますので、その往復に読む本を選び、カバンに詰め込んで出かけました。その中の1冊に、東京大学生産技術研究所教授の山本 良一 氏の著書、「温暖化地獄」がありました。読み進めるうちに「えっ!」「本当!」「これは大変だ!」との思いに駆られました。「科学者はこんなふうに考えるのか」ということも少し解ったような気持になりました。

 この本の前書きに、2005年6月に主要先進国G8と、G8以外の大国であるブラジル、中国、インド、計11か国の学術会議の共同声明として出された文章が記されていました。そこには「今や大幅な地球温暖化が起こりつつあることには強い根拠がある。地表気温や水面下における海水温度の上昇の直接観測や全世界的な平均海水位の上昇、氷河の後退、およびその他の物理上および生態系の変化などの諸現象がこの根拠である」とあり、「ここ数十年の温暖化の大半は、人間の活動に起因している可能性が高い」としています。

 またIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2007年2月に発表した第4次報告書によれば、「地球温暖化は今や明白で、平均気温が10年あたり0.2℃上昇しており、地球の気候システムは、平均気温があとわずか2~3℃上昇するだけで『ポイント・オブ・ノーリターン』に達し、さらなる温暖化に向かって後戻りのきかない暴走状態『ランナウェイ』に陥りかねない現実にあること」なども、分かりやすく説明されていました。

 1000兆円にも及ぶ日本の国債発行残高が、子孫に巨大な負の遺産を残すことになると指摘されていますが、地球温暖化の負の遺産は人類の生存に係わる大問題で、その次元が違うと言わざるを得ません。果たして、我々にはこの問題に正面から向き合って対策が打ち出せるかどうか、正に人類の英知が試される時が来ていることが読みとれます。

 2008年7月17日の日経夕刊の記事には、北海道洞爺湖サミットで、2050年までに世界の温暖化ガスの排出量を少なくとも「50%削減」する長期目標の共有で合意し、中国やインドを含む主要排出国の会合の宣言にも長期目標の支持を盛り込んだと伝えていました。でも「50%削減」自体が困難な目標である上に、これではとても不完全だという科学者の見方もあり、事実上「化石燃料との決別」に向けて立ち上るしか道はなさそうです。

 今すぐに為されなければならないのは、火力発電所が排出するCO2を回収して、地中深部に封じ込める「二酸化炭素回収・地中貯留(CCS)システム」の建設普及と、水力、風力、太陽電池、そして核融合へのエネルギーシフトを拡大し、それらエネルギーを電力消費地まで運ぶ、超高圧直流送電設備(西沢 潤一 元東北大学教授が提案された)の普及および超伝導ケーブルの実用化ではないかと思われます。

 エム・システム技研では、自社開発による消費電力の監視システムと、省電力のためのデータ解析システムの普及に力を注いでいます。また、小規模から大規模まで省電力効果が期待できるオープンネットワークを駆使したビル設備の統括管理システムも発売いたしました。

 この辺りの解説も、この『エムエスツデー』に随時掲載して参ります。私ども編集関係者一同は、より密度の高い技術広報誌を目指して活動をすすめて参りますので、末永くご愛読のほど、お願い申しあげます。

エムエスツデー


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