エムエスツデー 2008年5月号

『エムエスツデー』創刊16周年のごあいさつ

(株)エム・システム技研 代表取締役会長 宮道 繁

 『エムエスツデー』読者の皆様、こんにちは。今日もまた、こうして創刊16周年のごあいさつを書いております。この間一回も休刊することなく、毎月発行を続けてくることができました。本当にありがたいことと存じます。

 2008年は、多難な年になりそうです。アメリカ発のサブプライムローン問題による金融危機は、世界経済に大きなショックを与えました。これは、もう20年も前に経験した「日本におけるバブル経済崩壊現象に伴う混乱」に酷似しているように思われます。日本の混乱を他人事と思っていたであろう人々が、今慌てふためいている姿は、「人はなかなか歴史に学ばない」という先人の言葉を裏付けているようですが、私たちも笑って済ませられないところが問題です。

 今年の8月には、北京オリンピックが開催されます。中国はこの北京オリンピックを旗印にして、国威発揚を目指して経済発展を遂げてきましたが、その結果が皮肉にも大量の公害物質を排出して、大気汚染や河川の汚濁となって現れ、オリンピック大会の開催を危ぶむ声も出始めています。

 そこへ、チベットで発生した知識人の代表と思われる僧侶のデモ行進に一般市民が加わって、チベットの独立を目指す暴動に発展した、とマスコミが伝えています。その成行きが注目されますが、中国の拡大主義が内包する諸問題を代表した出来事ではないかと想像されます。

 そのほかには、記憶に新しい冷凍ギョーザの問題があります。食の安全には非常に敏感な日本に向けて輸出した冷凍ギョーザの中に、毒性の強い高濃度の殺虫剤が混入していたものがあり、日本各地で被害者が出ました。日中双方で、混入殺虫剤とその混入経路の調査をしているようですが、とても両者の結論が一致するとは思えません。困ったことです。

 つい先日(2008年2月4日)、コマツの建設機械についての面白いドキュメンタリーが、村上 龍 氏が担当している「カンブリア宮殿」という番組で放送されました。大変興味深い内容でしたので、DVDに録って繰り返し見ました。

 コマツのV字回復を実現した立役者の坂根会長は、中国の経済発展は2020年までは続くとの予測を述べておられますが、読者の皆様はどのように観察しておられるか知りたいところです。

 この番組で表現されているのは、IT化された建設機械が見事な情報戦を可能にしていることではないかと思います。10万台に上るコマツの建設機械が、世界中で活躍している様子が良くわかりました。その一台一台にはGPSが備えつけられており、それらの現在稼動している正確な地点と運転状況を示す数十点の計測値が、東京赤坂にあるコマツ本社のコンピュータ画面にリアルタイムで大きく写し出され、見事にリモートメンテナンスを実現しています。

Webロガー

 一方、エム・システム技研では、すでに数年前から同様のリモートメンテナンスを実現するWebロガーを発売して、好評をいただいております。

 Webロガーとは、現場設置形のWeb対応データロガーであり、複数のアナログやデジタル信号の計測データを収録する機能と、インターネットをはじめとする各種のWeb媒体との接続機能を併せもつ、手の平サイズのコンパクトなプラグインユニット形計器です。Webロガーに収録された計測データは、トレンド画面や帳票画面、あるいはユーザーが任意にデザインしたグラフィカルな画面などに加工され、Webに接続されたパソコンのブラウザ画面を通じ、世界中のどこからでも、いつでも閲覧することができます。

 もちろん、インターネットの接続に関するセキュリティー機能もしっかりと確保されています。

 Webロガーは、一般に分散配置されている上下水道などの公共設備の集中管理用に多くご利用いただいていますが、最近は民間のスーパーやビルの管理、ならびに製造業の各種設備管理等にも実績を拡げています。

 前記のDVDにあるコマツの建設機械のように、世界中に分散配置されている設備でも、このWebロガーは同様なリアルタイムのリモートメンテナンスを実現する能力をもっています。大型のプレスマシンや射出成形機など、高価な機械はコマツの建設機械と同様なメンテナンス環境にあると思われ、Webロガーのニューマーケットではないかと思われます。

 計装用インタフェース機器の専門メーカーとして発展してきたエム・システム技研は、次々に現れる新しいIT技術を活用して、新しいニーズにお応えする新製品の開発に力を入れて参ります。

 いかに優れた新製品も、お客様の知るところとならなければお役に立てません。したがってエム・システム技研は、これからも新製品情報とそのアプリケーション情報とをお客様に広くお伝えするため、この『エムエスツデー』の発行を続けて参りますので、引き続きご愛読のほど、よろしくお願い申しあげます。


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