2008年3月号
エムエスツデー 2008年3月号
絶縁4出力形 スプリット演算器
（形式：MFS2）
（株）エム･システム技研 開発部
は じ め に
エム･システム技研では、スプリット演算器（形式：MFS）を製品化してから今日まで、多くのお客様にご愛顧、ご愛用いただいて参りました。
今回ご紹介する新形のスプリット演算器（形式：MFS2）は、従来のスプリット演算器の機能に加え、スプリット制御点数の増加、使い勝手などについて大幅な仕様改善を行った新製品です。仕様改善の要点は次に挙げる2点です。
（1）絶縁4出力形
「あと1点制御出力があればいいのに・・・制御点数を多くして欲しい！」 多くのお客様から出力点数に関するご要望をいただき、絶縁4出力形を開発しました。
（2）専用コンフィギュレータによる各種パラメータの設定
「複雑な設定は面倒だ・・・入出力特性をパソコンで簡単に設定したい！」
ご安心ください。簡単・確実な設定を実現するために、専用コンフィギュレータを開発しました。
設定した入出力特性をグラフ表示できるため、視覚的確認が容易に行えます。
1．スプリット演算器とは
スプリット演算器は、1つの入力信号を使って2つ以上の異なる要素に対する制御（スプリット制御）を行う際に用いられます。身近な例として温水プールをとりあげると、入力信号はプールの水温、また異なる2つの制御要素は温水弁と冷水弁とになります。
また、入力信号と制御用出力信号との間の入出力特性には、V特性と平行特性があり、アプリケーションに合わせて、特性を選択する必要があります。図2には、V特性と平行特性を示しています。
温水プールの例では、V特性を選択します。温水プールの水温が入力信号になり、V1が冷水弁用の制御信号に、V2が温水弁用の制御信号になります。
それでは、以下に、スプリット演算器（MFS2）をご紹介しましょう。
2．MFS2の特長・機能
MFS2は、1入力（アナログ入力）と4出力（アナログ出力）をもつスプリット演算器です（図3にMFS2のブロック図を示します）。1つの入力信号で4つの異なる要素に対する制御が可能です。前述した例であれば、温水弁、冷水弁の制御のほかに、入出力間絶縁の特長を活かしてプールの温度監視（警報計器）、プールの温度表示（表示計器）などに利用することができます。
なお、MFS2では、4出力それぞれに異なる入出力特性を設定することが可能です。
ほかには、安全計装の面から、それぞれの出力に対して、上限値、下限値を設ける機能があります。
また、MFS2は接点入力機能を1点実装しています。接点入力の短絡（または開放）に対応して、特定の値を強制出力する機能をもっているため、緊急時に強制的に0％を出力したい場合などに、ご利用いただけます。
3．パソコンで簡単に設定
これまでにご紹介した様々な機能は、専用コンフィギュレータソフトウェア（形式：MFS2CFG）注）を使って簡単に設定できます。
出力チャネル毎に次の設定項目があります。
・入出力特性を設定するための2組の座標
・上下限リミット値
・接点入力を使用するか（Use）、接点入力を使用しないか（No Use）の選択
・接点短絡で強制出力するか、接点開放で強制出力するかの選択
・強制出力時の出力値
お客様のアプリケーションに変更が生じた場合にも、これらの設定値を変更するだけで、簡単にご対応いただけます。
次に、具体的な設定として下記の値を採用したときの状態を図4に示します。
入出力特性：“入力25％時、出力0％”かつ“入力50％時、出力100％”
上下限リミット値：上限75％、下限30％
強制出力：接点が短絡（Close）時に強制出力40％
4．グラフで確実に確認
コンフィギュレータで設定した内容は、コンフィギュレータ内のGraphボタン（図4）を押すだけで、簡単に確認できます。
図5に、図4の設定内容をグラフ表示した画面を示します。
図中の黒丸が入出力特性を決める座標です。
上下限リミット値の制限がかかり、赤色の線の入出力特性となります。
お わ り に
このスプリット演算器は、お客様のご要望に応えて開発しました。したがって、多くのお客様にご満足いただける商品であると確信しています。エム･システム技研では、お客様満足度の向上を目指し、日々、新商品の開発に取り組んでいます。
ご意見・ご要望がございましたら、ご遠慮なくお気軽にお寄せください。これからもエム･システム技研をよろしくお願いします。
注）コンフィギュレータソフトウェアは、エム･システム技研のホームページのダウンロードメニューに追加する予定です。MFS2とパソコンとの接続には、専用のコンフィギュレータ接続ケーブル（形式：MCN-CON）が必要です。
