エムエスツデー 2008年1月号

2008年 新年のごあいさつ

代表取締役会長 宮道繁

 今年は北京オリンピックが開催されます。中国ではその準備のために、まず会場や道路の建設を始め、鉄道の敷設、来場者のための宿泊設備等の建設が今や終盤に入っているものと思われます。それでなくても中国の建設ラッシュや各種工場の開発ラッシュで、世界中の資源を飲み込んで経済規模の拡大が進んでいます。その結果、日本のいつか来た道と同じ大気汚染、河川の汚濁が進んでいます。その影響が日本にまで及んでいるとなれば、ただ事ではすまされないと思われます。

 人類社会の近代化は、化石燃料の大量消費で成り立っているといわれます。日本の南極越冬隊が持ち帰った氷を分析したところ、確実に地球上のCO2濃度が増加しつつあり、動物の生存を脅かすであろうと予言されています。でも、それより先に地球温暖化が進んで、多くの問題を引き起こすことになると思われます。

 今、人類は冷静になって緊急に対策を講じなければならないところですが、各国のエゴがぶつかり合って、協力して有効な手が打たれない現状に歯がゆい思いをしているのは私だけではないと存じます。いずれ石油の消費量が産出量を上廻り始めると、原油価格が高騰して新しいエネルギーが採算に乗り、別の姿の新しい時代になるのかも知れません。このところ原油価格が急騰し、1バレル当り100ドルに迫っているところを見ると、今年はその過程の年になるものと思われます。

 日本は2度のオイルショックを経験し、そのたびに必死に省エネルギーに努力し、技術を磨いて成長してきました。今回もまた、新エネルギー技術に力を入れて、この危機を乗りきってゆくものと期待したいところです。太陽光発電、風力発電はもちろんのこと、燃料電池もこれらの問題解決に有効な技術だと思います。

 エム・システム技研では、燃料電池の試験設備用に変換器などのご用命を多数いただいており、また、風力発電設備用にも各種の機器をご採用いただいておりますこと、大変喜ばしくかつありがたいことだと存じております。つい先日、「地球シミュレータ」と呼ばれる世界最速を誇っていた巨大コンピュータが、「運転を終了する」とテレビが伝えていました。その理由は、デジタル技術の進歩が加速していて、世界各国の超高速コンピュータの開発競争が激化した結果、地球シミュレータの性能が10位以内に入らなくなったことと巨額の電気代がかかるからだそうです。

 一方、消費者向けのデジタル製品も急速に性能が向上し、デジタルテレビ、デジタルカメラ、ケータイ、パソコンなどの高性能化と低価格化は目を見張るばかりです。


【イラスト:早勢 勉】

 エム・システム技研は、主に、アナログ技術に力を入れた製品とその技術を活かして、その上に発展著しいデジタル技術を融合させた新しい製品体系の次世代の姿を追求する形で成長して参りました。工業計器の中の、計測信号の変換、伝送、表示の各機能を中心においた、信頼性の高いインタフェース機器を標準化して商品化し、短納期、低価格を実現して参りました。今年は創業して36年目に入り、今までにお客様にご愛用いただいた変換器の総数は1千万台を突破しております。エム・システム技研は、このご恩に感謝しつつ、今年も、「ひとたび発売した製品は打切ることなく作り続ける」を合言葉にがんばって参りますので、引続きよろしくご愛顧のほど、お願い申しあげます。


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